微分方程式セミナー


2019/5/10(Fri)

15:30--17:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室

上田 好寛

神戸大学 海事科学研究科

線形微分方程式系における消散構造の解析

消散構造を持つ対称双曲型方程式系や双曲ー放物型方程式系の平衡点の安定性を判定する条件として、Shizuta-Kawashima(1985)やUmeda-Kawashima-Shizuta(1984)によって構築された安定性条件が知られています。この安定性条件は、離散Boltzmann方程式や緩和効果を加えた圧縮性Euler方程式の線形化問題などに適用することができます。この安定性条件を適用するためには、方程式系がある種の対称性を持つことが必要ですが、近年、梁の振動に起因したTimoshenko方程式や、プラズマ現象に起因したEuler-Maxwell方程式、Cattaneoの法則を考慮した板の振動を現す方程式系など、その対称性を持たない物理モデルも知られてきました。そこで、既知の安定性条件を再定式化することで、これらを包括するより複雑な方程式系に対しても安定性を示すことが本講演の目的です。証明の一つの鍵となるのがLyapnov関数の導出ですが、方程式系に内在する対称性に着目して有用なLyapnov関数を構成します。また本講演では、新たな安定性条件の応用例についても解説する予定です。