- 2020/4/13(Mon) 代数幾何学セミナー 10:30--12:00 オンライン
丹野 真人(大阪大学 理学研究科)
野性 McKay 対応と巡回商特異点について
野性 McKay 対応の応用として,商多様体 $V/G$ ($V$ は $G$ 表現)の discrepancy が計算できることが期待される(Yasuda, 2019).
そのためには野性 McKay 対応で重要な役割をもつ $v$ 関数の計算が必須である.
$G = \mathbb{Z}/p\mathbb{Z}$ の場合の $v$ 関数はよく知られている(Yasuda, 2014).
講演者は $G = \mathbb{Z}/p^{n}\mathbb{Z}$ の場合の $v$ 関数について考察をおこなった.
またその応用として直既約 $\mathbb{Z}/p^{2}\mathbb{Z}$ 表現 $V$ について,商多様体 $V/G$ の discrepancy の評価を与えた.
本研究は安田健彦氏(大阪大学)との共同研究にもとづく.
(本セミナーはZoomで行われます。参加希望者でmeeting idとパスワードをお持ちでない方はokawa@math.sci.osaka-u.ac.jpまでお問い合わせください。)
- 2020/4/27(Mon) オンライン阪大代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact koji@math.sci.osaka-u.ac.jp(I might ignore non-academic e-mail address)
江尻 祥(大阪大学 理学研究科)
相対反標準因子の正値性について
相対反標準因子が正値性条件を満たす代数的ファイバー空間fは限られた構造しか持たないことが知られている。相対反標準因子がネフならばfは局所自明であることが
Cao--H¥”{o}ringの議論からわかる。さらに豊富ならばfは定数写像であることがKoll¥’{a}r--宮岡--
森の理論から系として従う。本講演では上述した結果の漸近的基点集合を用いた拡張について説明する。拡張の1
つを証明する過程で「相対標準因子を引く」という操作が因子の漸近的基点集合に与える影響を記述した。その応用も紹介する。
本講演の内容は岩井雅崇氏、松村慎一氏との共同研究に基づく。
(本セミナーはZoomで行われます。)
- 2020/5/11(Mon) オンライン阪大代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (I might ignore non-academic e-mail address)
宮本 恵介(大阪大学 理学研究科)
対数的曲面上のサルキソフプログラムについて
極小モデル理論では、2つの双有理同値な森ファイバー空間は、サルキソフリンクと呼ばれる双有理写像の有限回の合成により繋がるということが期待されている。
これは非特異な曲面上では、古典的な結果としてよく知られており、サルキソフリンクは、繊維曲面の間の初等変換、\mathbb{P}^2の一点爆発、\mathbb{P}^1\times\mathbb{P}^1の射影のいずれかである。
さて、藤野・田中により、任意標数の代数閉体上の対数的曲面と\mathbb{Q}-分解的曲面と呼ばれる2つのクラスで極小モデル理論は完成している。
本講演では、Hacon--McKernanの議論を用いてこれらの2つのクラスで上記の予想が正しいことを発表する。
- 2020/5/11(Mon) 幾何セミナー 13:00-- オンライン
丸亀泰二(大阪大学)
Kropina計量を用いたCR多様体のchainの特徴づけ
chainはCR多様体上の自然な曲線族であり, CR幾何における測地線の役割を果たす.この講演では, chainがKropina計量と呼ばれる特異性をもったFinsler計量の測地線として特徴づけられることを説明し, chainに関するよく知られた定理を改良して証明する. 本講演は, J.-H. Cheng氏, V. S. Matveev氏, R. Montgomery氏らとの共同研究にもとづく.
Zoomミーティングにて行います。聴講希望者は
糟谷
kasuya(あっとまーく)math.sci.osaka-u.ac.jp
にメールお願いします。
- 2020/5/18(Mon) オンライン阪大代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
石橋 典(RIMS)
Algebraic entropy of sign-stable mutation loops
Fock-Goncharovにより導入されたクラスター多様体は正値構造を持つ2種のスキー
ムである. クラスター多様体の定義データであるseed patternを点付き曲面の理想三
角形分割で与えた場合には, ある半体値の集合として曲面のTeichmuller空間, 測度
付き葉層の空間などTeichmuller-Thuston理論における重要な対象が復元される. こ
れらの空間への写像類の作用は「変異ループ」のクラスター多様体への作用へと一般
化 (代数化) される.
本講演では写像類の擬Anosov性に対応する性質として変異ループの「符号安定性」
を導入し, その力学系的性質を調べる. 特に, 符号安定な変異ループのクラスター多
様体への作用の代数的エントロピーを計算し, それらが「クラスター伸縮因子」と呼
ばれる特徴量の対数を用いて上下から評価できることを示す. この結果は擬Anosov写
像の曲面への作用の位相的エントロピーを伸縮因子の対数で与えるThurstonの定理の
クラスター代数における類似である. 本講演は東京工業大学の狩野隼輔氏との共同研
究に基づく.
(講演スライドが、以下のリンクで公開されています
https://sites.google.com/view/tsukasa-ishibashi/activities)
- 2020/5/25(Mon) オンライン阪大代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
赤池 広都(大阪大学 理学研究科)
相対不正則数が正な巡回被覆ファイバー曲面のスロープ不等式
スロープは局所自明でないファイバー曲面に対して定まる不変量であり,
相対標準因子の自己交点数と相対オイラー数の比として定義される.
一般ファイバーにある性質を課したファイバー曲面のクラスに対して,
スロープの下限を見出すことはファイバー曲面の地誌学の研究目標の一つである.
一方で相対不正則数は, 全空間の不正則数と底曲線の種数の差として定義される.
相対不正則数はスロープの下限を引き上げることが知られているが,
相対不正則数を関数として含む下限はほとんど知られていない.
本講演では, 巡回被覆ファイバー曲面というクラスに関して,
ある条件の下で相対不正則数を関数として含むスロープ下限の導出について発表する.
- 2020/5/25(Mon) 幾何セミナー 13:00-- 理学部 E404/406/408 大セミナー室阪大理学部オンライン
数川大輔(大阪大学 理学研究科)
次元が無限大に発散する楕円体列の極限
測度距離空間の収束概念の1つである集中は次元が無限大に発散する空間列に対しても良い収束性を持つ.また集中の位相に関する測度距離空間全体のあるコンパクト化がGromovによって構成されており,このコンパクト化上の収束を弱収束という.本講演では,次元が無限大に発散する楕円体列が集中および弱収束の意味で無限次元のGauss空間に収束することについて述べる.本講演は塩谷隆氏(東北大学)との共同研究に基づく.
Zoomミーティングにて行います。聴講希望者は 糟谷 kasuya(あっとまーく)math.sci.osaka-u.ac.jp にメールお願いします。
(研究者のためのセミナーです。十分な専門性を有していると確認できるかたにのみメールの返信を行います)
- 2020/6/1(Mon) オンライン阪大代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
疋田 辰之(RIMS)
Highest weight categories arising from equivariant coherent sheaves on toric hyper-Kahler manifolds
旗多様体などの良いstratificationを持つ空間上の偏屈層のなすアーベル圏は最高ウェイト圏と呼ばれる構造を持つことがよく知られている。特に旗多様体の場合はHecke環のKazhdan-Lusztig基底の理論や半単純Lie環の表現論などと関係してよく調べられている。
一方でLusztigはSpringer特異点解消やSlodowy多様体などの代数多様体の同変K群に対してKazhdan-Lusztig基底などの類似物を定義し、正標数の半単純Lie環の表現論との関係などを予想した。この講演ではこれらの基底を錐的シンプレクティック特異点解消と呼ばれるクラスの代数多様体の同変K群に対して定式化し、それらが同変連接層の導来圏の上のとあるt-構造の核として得られるアーベル圏の上の最高ウェイト圏の構造に持ち上がるという予想を述べる。そしてトーリックハイパーケーラー多様体と呼ばれる具体例に対してはその予想が正しいことを説明する。
- 2020/6/8(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
安田 健彦(大阪大学 理学研究科)
Motivic integration over DM stacks and its applications
講演者が最近構成した等標数DMスタック上のモチーフ積分の理論とその応用について講演する。DMスタック上のモチーフ積分は、Denef-LoeserによるMcKay対応のモチーフ積分を用いた証明に端を発する。近年講演者はMcKay対応やDMスタック上のモチーフ積分を野性的状況、つまり登場する有限群の位数が基礎体の標数で割り切れる状況、へ拡張する取り組み行ってきた。最近、等標数の場合にはかなり一般的な状況で理論を構築することができた。そこで鍵となったのは、Toniniと講演者が共同で研究した巾級数体上のトーサーのモジュライ空間、そしてHomスタックを用いたuntwistingである。理論の帰結として、任意の有限群に対する野性McKay対応が得られる。野性McKay対応を用いて野性的商特異点の食い違い係数の評価やSerre-Bhargavaの量公式のモチーフ版が得られることを解説する。
(For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address))
- 2020/6/8(Mon) 幾何セミナー 13:00-- 阪大理学部オンライン
相野 眞行(大阪大学)
リーマン多様体におけるラプラシアンと球面の積へのグロモフ・ハウスドルフ近似
正のリッチ曲率を持つリーマン多様体におけるラプラシアンの固有値の評価としてリヒネロヴィッツの定理が知られており,その等号は小畠の定理により球面を特徴づけている.更に,真に等号を満たす場合だけでなく,そのほぼ等号が成り立つという条件(ピンチ条件)のもとでのリーマン多様体の挙動はよく調べられており,ある種のピンチ条件のもとではグロモフ・ハウスドルフ距離の意味で球面に近くなるといった定理も知られている.ここではラプラシアンの固有値に関するある種のピンチ条件のもと,球面同士の積S^p×S^qへのグロモフ・ハウスドルフ近似を与える.
Zoomミーティングにて行います。聴講希望者は 糟谷 kasuya(あっとまーく)math.sci.osaka-u.ac.jp にメールお願いします。 (研究者のためのセミナーです。十分な専門性を有していると確認できるかたにのみメールの返信を行います)
- 2020/6/10(Wed) トポロジーセミナー(オンライン) 16:30--18:00
和田康載(大阪大学 理学研究科)
ミルナー不変量入門
絡み目のミルナー不変量とは,1950年代にMilnorによって定義された数列に対応して定まる絡み目の不変量の族である.本講演の前半では,ミルナー不変量の定義とその性質を述べる.後半では,Milnorの原論文に従い,ミルナー不変量の不変性の証明を概観する.
オンライン参加の情報希望者は, 次のアドレスにメールを送ってください. baba(アットマーク)math.sci.(大阪を小文字で) -u.ac.jp
- 2020/6/15(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
桑垣 樹(大阪大学 理学研究科)
Symplectic geometry of exact WKB analysis
Planck定数を含んだ微分方程式は、(半)古典極限として余接束内のラグランジュ部分多様体を与え、逆に元の微分方程式はラグランジュ部分多様体の量子化だと思える。一方で、Planck定数を含んだ微分方程式を「解く方法」として、完全WKB解析がある。これはWKB 解という特別な形式解をLaplace変換を用いて足し上げて真の解を得る様なことを指す。
今回の講演では、完全WKB解析をもちいて、ラグランジュ部分多様体の層量子化(“Betti”量子化)を与える方法について説明する。この構成において、完全WKB解析のいろいろなデータは深谷圏/超局所層理論辞書をもちいた自然な解釈があることがわかる。また、この量子化はラグランジュ部分多様体上の局所系を付随させ、Voros—Iwaki—Nakanishi—Fock—Goncharovのクラスター座標と同一視される。また、この対応を圏同値とみる予想について述べ、Riemann-Hilbert対応との関係についても述べる。
- 2020/6/17(Wed) トポロジーセミナー(オンライン) 16:30--18:00
和田康載(大阪大学 理学研究科)
ウェルデッド絡み目のミルナー不変量
ウェルデッド絡み目とは,3次元空間内の古典的絡み目の一般化にあたる概念である.本講演では,古典的絡み目のミルナー不変量を図式を用いて再定義することで,ウェルデッド絡み目に対しミルナー不変量が定義できることを紹介する.本研究は,津田塾大学の宮澤治子氏と早稲田大学の安原晃氏との共同研究である.
オンライン参加の情報希望者は, 次のアドレスにメールを送ってください. baba(アットマーク)math.sci.(大阪を小文字で) -u.ac.jp
- 2020/6/22(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
吉川 翔(東京大学大学院数理科学研究科)
Fano fibration of varieties admitting a special endomorphism
Int-amplified endomorphismやpolarized endomorphismなどの自己準同型写像を持つ射影多様体は特別な構造を持つことが知られている。ここで、polarized endomorphismとは、射影多様体の極を保つ自己準同型のことであり、int-amplified endomorphismはその一般化になっている。同型でない自己準同型写像をもつ滑らかな曲面の分類はFujimoto, Nakayamaによって与えられており、その中で、(-1)-curveの収縮が、与えられた自己準同型と同変になるという主張が証明されている。
また、Meng, Zhangによってこの主張の高次元化がint-amplified endomorphismの場合に与えられており、これは同変極小モデルプログラムと呼ばれている。さらに、それを使うことで、int-amplified endomorphismを持つ滑らかな多様体に対し、それをエタール被覆で取り換えることで、Albanese射が有理連結なファイバーを持つことを証明した。
本講演では、Meng, Zhangの結果の拡張について説明する。特に、int-
amplified endomorphismを持つ滑らかな多様体に対し、それをエタール被覆に取り換えることで、その多様体はAlbanese多様体上Fano型になることがわかる。この系として、有理連結で滑らかな多様体がint-amplified endomorphismを持つ場合、その多様体はFano型になる。
- 2020/6/22(Mon) 幾何セミナーオンライン 13:00--14:30 阪大理学部Zoomミーティング
長谷川敬三(大阪大学・新潟大学)
Unimodular Sasaki and CR Lie groups
“Homogeneous Sasaki and Vaisman manifolds of unimodular Lie groups”
に関する結果について,2019年11月の複素幾何学シンポジウム(金沢)にて,
研究の流れや背景について話しました (講演ノートはResearch mapにて公開)。
今回は “Unimodular Sasaki and Vaisman Lie groups”の場合を含めて,結果の
証明についてより踏み込んだ話をしたいと考えています。
また,Unimodular Lie 群上のSasaki構造を同じLie群上のCR構造のmoduli空間の
中で考察することはとても有意義で興味深い研究テーマであると感じています。
まだ研究の入り口に立ったばかりですが,可能な限りで触れたいと考えています。
聴講希望者は 以下フォームより申し込みお願いします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScgxMSLLHhvQJ5OnlKdspieXHMVi1NSDP2YmgPcE-dgnhbZtw/viewform?usp=sf_link
(研究者のためのセミナーです。十分な専門性を有していると確認できるかた限らせていただきます)
- 2020/6/29(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 理学部 E404/406/408 大セミナー室For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
小林 和志(大阪大学 理学研究科)
高次元複素トーラス上の射影的平坦束の成す完全三角系列について
一般的に, ホモロジー的ミラー対称性により, シンプレクティックトーラス上のアファインラグランジュ部分多様体とその上の局所系の組の成す完全三角系列と, ミラー双対な複素トーラス上のある種の射影的平坦束の成す完全三角系列が対応すると考えられているが, ここでは特に, そのようなものの例として, 高次元複素トーラス上で定義される3つの射影的平坦束とそのシフトから成る完全三角系列を考える. 講演者のこれまでの研究により, そのような完全三角系列であって正則直線束を含むようなものは, 本質的には楕円曲線上で定義される3つの射影的平坦束とそのシフトから成る完全三角系列から誘導されて定まるものに限るということが証明されている. 本講演では, ホモロジー的ミラー対称性から予想される対応関係についても考慮しつつ, この研究結果の一般化について紹介する.
- 2020/7/1(Wed) トポロジーセミナー 16:30--18:00 理学部 E404/406/408 大セミナー室オンライン
正井秀俊(東工大)
On systoles and ortho spectrum rigidity
We consider the ortho spectrum of hyperbolic surfaces with totally
geodesic boundary. We show that in general, the ortho spectrum does
not determine the systolic length but that there are only finitely
many possibilities. This is joint work with Greg McShane.
[オンライン参加の情報希望申し込み https://forms.gle/66b4iW3vPoBDBTWC8]
- 2020/7/6(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 理学部 E404/406/408 大セミナー室 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
谷本祥(熊本大学理学部)
Movable Bend and Break for del Pezzo fibrations over higher genus curves
森先生が発見した曲げ折り法は非特異Fano多様体の有理連結性や有界性を示すのに使われるなど幅広い応用がある。講演者は共同研究者のBrian Lehmannと動的曲げ折り法予想を提唱している。それは高次数の自由な曲線は二つの自由な曲線の和に退化できると予想するものである。Brian Lehmannとの最近の共同研究で、この動的曲げ折り法をdel Pezzo束のセクションに対して証明できたので、今回はその証明を解説したい。さらに、セクションのモジュライの既約成分の個数は次数に関する多項式で抑えられると予想するBatyrev予想への応用についても解説する。
- 2020/7/6(Mon) 幾何セミナー 13:00-- 阪大理学部オンライン
佐野太郎(神戸大学)
ケーラーでないCalabi-Yau多様体の対数変形による構成
射影的Calabi-Yau多様体は代数多様体の分類で重要な対象であるが、その位相型が有限かどうかは知られていない。
しかし、代数的でないCalabi-Yau多様体の位相型は無限に存在することが知られている。
本講演では、そのような例で第2ベッチ数が任意に大きくなるものを紹介する。
川又--並河の対数変形理論を、代数的だが射影的でない正規交差多様体に適用することで例が得られる。
例はケーラーではないことや、ケーラー多様体に近い性質を持つことなども説明する。
聴講希望者は 以下フォームより申し込みお願いします。 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScgxMSLLHhvQJ5OnlKdspieXHMVi1NSDP2YmgPcE-dgnhbZtw/viewform?usp=sf_link (研究者のためのセミナーです。十分な専門性を有していると確認できるかた限らせていただきます)
- 2020/7/7(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 オンラインで開催
池田 光優 (大阪大学)
A New Discretization Scheme for One Dimensional Stochastic Differential Equations Using Time Change Method
We propose a new numerical method for one dimensional stochastic differential equations (SDEs). The main idea of this method is based on a representation of a weak solution of a SDE with a time changed Brownian motion, dated back to Doeblin (1940). In cases where the diffusion coefficient is bounded and β-Hölder continuous with 0<β≤1, we provide the rate of strong convergence. An advantage of our approach is that we approximate the weak solution, which enables us to treat a SDE with no strong solution. Our scheme is the first to achieve the strong convergence for the case 0 < β < 1/2. This talk is based on joint work with Masaaki Fukasawa (Osaka University). arXiv:2006.02626
*本セミナーは Zoom を用いて行われます。
参加を希望される方は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)まで
お問い合わせ下さい。
- 2020/7/13(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
中嶋祐介(京都産業大学理学部)
トーリック特異点の非可換クレパント特異点解消について
非可換クレパント特異点解消(non-commutative crepant resolution= NCCR)は,通常のクレパント特異点解消の非可換類似として,Van den Berghにより導入された非可換代数であり,良い状況下ではクレパント特異点解消と導来同値となる.NCCRは, 可換環R上の加群の自己準同型環の形をしているが, このNCCRを与える加群は, 環論・表現論においても重要であり,
特に団傾理論・高次元Auslander-Reiten理論と深い関わりをもつ.本講演では, 最初に代数幾何学との関わりに注目しながらNCCRを導入し, その後, 環論・表現論との関わりと,講演者のこれまでの研究結果に焦点を当てていく. 特に日比環と呼ばれる特別なトーリック環のNCCRについてと,
NCCRの変異と呼ばれる操作について紹介する. (本講演の一部は, 東谷章弘氏との共同研究に基づく.)
- 2020/7/13(Mon) 談話会 16:30--17:30 オンライン
縫田 光司(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
無限生成Coxeter群の群構造と同型問題
組合せ論的群論は、生成系とその元たちが満たす基本関係の組によって記述された群についてその構造を研究する分野である。上記の群表示の形状にしたがって与えられた群のクラスのうち有名な例の一つにCoxeter群がある。Coxeter群については幾何学、表現論、組合せ論といった分野との関連が古くからよく知られる一方で、群としての構造自体の研究は比較的手薄であったが、ここ30年ほどの間にCoxeter群の群構造に関する研究もだいぶ進展してきた。本発表では、組合せ論的群論についての簡単な概説から始まり、Coxeter群の群構造の研究、中でも主要なテーマである同型性の判定問題や関連する研究について紹介する。
*集中講義の第1回を兼ねます。
*Zoomを用いてオンラインで行われます。数学教室所属でない方で参加を希望される方は,高橋篤史(takahashi "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい。
- 2020/7/20(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
岡田拓三(佐賀大学理工学部)
On K-stability of birationally superrigid Fano 3-folds
ファノ多様体の双有理(超)剛性は、代数多様体の有理性問題に関連して導入された双有理幾何学的な概念である。ファノ多様体の双有理超剛性はK安定性を導くであろうと予想されている。まずは本予想を支持するいくつかの結果を紹介を行う。そして、In-kyun Kim、Joonyeong Won両氏との共同により、95族からなる(指数1)ファノ重み付き超曲面に対して本予想を検証する研究を行い、最近になって全ての検証を終えたのでその結果を報告したい。
- 2020/7/21(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 オンラインで開催
星野 壮登(九州大学)
Stochastic quantization associated with the $\exp(\alpha\phi)_2$-quantum field model
H{\o}egh-Krohnモデルなどと呼ばれる指数ポテンシャルを持つ場の理論と, 対応する確率偏微分方程式を考える. この研究は次の3つのパートからなる. (1)ラフパス理論的な考え方で強解の一意存在を示す. (2)Albeverio-Kusuoka (2017)の手法を使い, 定常解の存在を示す. (3)Dirichlet形式を使って得られる弱解との関係を考える. この研究は河備浩司氏(慶應義塾大学)と楠岡誠一郎氏(京都大学)との共同研究である.*本セミナーは Zoom を用いて行われます。 参加を希望される方は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)まで お問い合わせ下さい。
- 2020/7/27(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00
大谷拓己(大阪大学理学研究科)
l-Kronecker quiverに付随するFrobenius多様体
Frobenius多様体は,古典的ミラー対称性や原始形式の周期の理論において自然にあらわれる構造の一つであり,(A)種数0のGromov-Witten理論,(B)変形理論と原始形式,(Rep)Weyl群不変式論,による3種類の構成方法が知られている.また,適切な条件下では,導来圏とFrobenius多様体はBridgeland安定性条件を通して結びつくことが期待されている. Weyl群不変式論による構成は,有限型,affine ADE型,楕円型の場合のみしか知られておらず,これらの枠組みの拡張が課題である. 本講演では,l-Kronecker (wild Kronecker) quiverから,Weyl群不変式論を用いたFrobenius多様体の構成について紹介する.本講演は,高橋篤史氏,池田曉志氏,白石勇貴氏との共同研究に基づく.
- 2020/7/27(Mon) 幾何セミナー 13:00-- 阪大理学部オンライン
青井顕宏(大阪大学)
cscK計量に付随する完備スカラー平坦ケーラー計量について
コンパクトな複素多様体とその上の豊富な直線束の組を偏極多様体という. その直線束の大域的な正則切断から定まる滑らかな超曲面が存在すると仮定する. 本講演では, その超曲面が正の値を取るcscK計量を適当な偏極類の中に許容し, いくつかの適当な条件を満たせば, その補集合上に完備ケーラー計量でスカラー平坦(そのスカラー曲率が0) となるものが存在する, という結果について紹介する.
。 聴講希望者は 以下フォームより申し込みお願いします。 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScgxMSLLHhvQJ5OnlKdspieXHMVi1NSDP2YmgPcE-dgnhbZtw/viewform?usp=sf_link (研究者のためのセミナーです。十分な専門性を有していると確認できるかた限らせていただきます)
- 2020/7/28(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 オンラインで開催
田口 大(岡山大学)
Multi-dimensional Avikainen's estimates
Avikainen provided a sharp upper bound of the expectation of |f(X)-f(Y)|^{q} by the expectation of |X-Y|^{p}, for any one-dimensional random variables X with a bounded density function and Y, and function of bounded variation f. In this talk, we consider multi-dimensional analogues of this estimate for any function of bounded variation in R^{d}. We apply main statements to numerical analysis on irregular functional of a solution to stochastic differential equations based on the Euler--Maruyama scheme and the multilevel Monte Carlo method, and L^{2}-time regularity of decoupled forward--backward stochastic differential equations with irregular terminal conditions.
This is joint work with Akihiro Tanaka (Osaka university) and Tomooki Yuasa (Ritsumeikan University).
*本セミナーは Zoom を用いて行われます。 参加を希望される方は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)まで お問い合わせ下さい。
- 2020/7/29(Wed) トポロジーセミナー 16:30--18:00 阪大理学部オンライン
安部哲哉(立命館大学)
Knots with infinitely many non-characterizing slopes
We observe that $6_3$ has infinitely many non-characterizing slopes,
which affirmatively answers a question by Baker and Motegi. We give two proofs. One of them is using annulus twists. The other is using Baker and Motegi's method. We prove that these are essentially the same.
We also prove that Teragaito's work in 2007 (and 4-dimensional generalization) is described by Abe, Jong, Luecke and Osoinach's work.
This is joint work with Keiji Tagami. 注意:オンライン参加を希望される方は、以下のサイトで登録をお願いします。
https://forms.gle/MN8HZvk72G7uzrEN9
- 2020/10/5(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
大川新之介(大阪大学大学院理学研究科)
半直交分解のモジュライ空間について
三角圏をより小さい三角圏に分解するのが半直交分解であり、三角圏を調べる上で最も基本的な手段の1つである。特に半直交分解の分類は興味深い問題であり、これまでにも様々な研究がなされてきた。講演者らはこの問題を動機の1つとして、arXiv:2002.03303 <https://arxiv.org/abs/2002.03303> において半直交分解のモジュライ空間を導入した。具体的には、任意の非特異射影代数多様体の族 f: X \to U に対して``fのファイバーの連接層の導来圏''の半直交分解を分類するモジュライ関手を導入した。我々の主結果はそのモジュライ関手がU上のetaleな代数空間になるというものである。今回はこれについて話をする。講演では主結果の紹介とその証明の概略を説明すると共に、主結果の具体例、応用(cf: arXiv:2007.00994<https://arxiv.org/abs/2007.00994>)やモジュライ空間の性質に関する未解決問題について紹介する。多少基本的な内容やバックグラウンドから話を始める予定である。
- 2020/10/7(Wed) トポロジーセミナー 16:30--18:00 理学部 E404/406/408 大セミナー室
藤野弘基(名古屋大学)
極大曲面に対する光的線分境界値問題の可解性について
極大曲面は時空(不定値計量を備えた空間)内の曲面であり極小曲面のアナロジーとして定義されるものである。それゆえ極小曲面の場合と同様に、プラトー問題など境界値問題の類が興味深い問題として考えられる。本講演では特に、3次元ミンコフスキー時空において、曲面上で計量が退化していくような“光的線分”と呼ばれる境界を持つ極大曲面の存在について考察する。結果としてそのような極大曲面の存在は、極小曲面に対するある種の(よく調べられてきた)境界値問題の可解性に対応することが示される。尚、本講演の内容は日本大学の赤嶺氏との共同研究に基づく。
- 2020/10/12(Mon) 幾何セミナー 13:00--14:30 理学部 E404/406/408 大セミナー室+オンライン(アブストラクトをご覧ください)
竹内有哉(大阪大学)
Non-negativity of the CR Paneitz operator for embeddable CR manifolds
The CR Paneitz operator, which is a fourth-order CR invariant differential operator, plays a crucial role in three-dimensional CR geometry; it is deeply connected to global embeddability and the CR positive mass theorem. In this talk, I will show that the CR Paneitz operator is non-negative for embeddable CR manifolds. I will also apply this result to some problems in CR geometry. In particular, I will give an affirmative solution to the CR Yamabe problem for embeddable CR manifolds.
対面でのセミナーです。
聴講者は手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス等感染症への対策にご協力いただくようお願いします。ご協力いただけない場合はご退室をお願いする場合があります。また感染症への対策のため入室人数を制限する場合があります。特に講演開始後の入室ができなくなる場合があります。セミナー室に来られない聴講希望者のためにオンラインでのセミナー映像のリアルタイム配信を企画しております。希望者は以下のフォームに登録お願いします。https://docs.google.com/forms/d/1QZr7GchFF8xlElZd-0k2XTBKm5V6_tStFcjku-p30Pg/edit
- 2020/10/12(Mon) 談話会 17:00--18:00 理学部J棟2階 南部陽一郎ホール+オンライン
石田 敦英(東京理科大学)
分数冪相対論作用素についての低速伝播評価
散乱理論において波動作用素の漸近完全性の証明は最終目標の一つである.
本談話会では, 集中講義の第一回目を兼ねて, はじめに通常のシュレディンガー作用素について, 波動作用素やその漸近的完全性の意味を簡単に説明する. 続いて, 質量を持つ分数冪相対論シュレディンガー作用素に対して, 漸近完全性の証明に決定的な役割を果たす低速伝播評価の導出を報告する ([1]). 特に相互作用ポテンシャルにはクーロン型特異性を有する短距離型および長距離型も含めた広範なクラスを扱う. 翌日以降の集中講義では,通常のシュレディンガー作用素の場合の低速伝播評価の証明を与える予定である.
参考文献 [1] A. Ishida, Minimal velocity bound for relativistic operator with fractional powers, arXiv:2007.05388.
*集中講義の第1回を兼ねます.
*Zoomを用いたオンライン配信も行います.数学教室所属でない方で参加を希望される方は,高橋篤史(takahashi "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい.
- 2020/10/16(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--17:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室
石田敦英(東京理科大学)
分数冪ラプラシアンについてのエンス型伝播評価と逆問題
Enss(1983)において、通常のシュレディンガー作用素についてのある伝播評価が得られた。この評価は後にEnss-Weder(1995)によって、散乱作用素の情報から相互作用ポテンシャルを導く逆散乱問題へと効果的に応用されることが分かり、以降この手法はEnss-Wederの方法と呼ばれることとなる。本講演では分数冪ラプラシアンの場合について、Enss型の伝播評価の導出方法と、その逆散乱問題への応用について報告したい。
- 2020/10/20(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 オンラインで開催
植田 優基(一関工業高等専門学校)
Free extreme values and related distributions
2006年、Ben ArousとVoiculescuは、自由独立な確率変数に対して、Andoのスペクトル最大値の正規化極限が従う分布を導入した。この極限分布は自由極値分布と呼ばれ、古典極値分布と同様、Gumbel, Weibull, Frechet型に分類されることが分かっている。自由極値分布は、ランダム行列のスペクトル最大値の漸近固有値分布(行列サイズを無限大とした時のランダム行列の経験固有値分布の極限分布)との関連も深い。本講演では、自由極値分布の導入を行ったあと、極値分布に関する最大値確率変数の正規化極限定理と、自由極値分布に関するスペクトル最大値確率変数の正規化極限定理の関係について得られた結果を述べる。(先行研究として安定分布に関する確率変数の和の正規化極限の古典と自由確率論の対応関係を構成したBercovici-Pataの研究が有名である。) また、上記の結果を用いて、和の正規化極限の分布である安定分布と、最大値の正規化極限の分布である極値分布の間にも対応関係を構成する。
*本セミナーは Zoom を用いて行われます。 参加を希望される方は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)まで お問い合わせ下さい。
- 2020/10/26(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
MACPHERSON Andrew(大阪大学大学院理学研究科)
A bivariant Yoneda lemma and (infinity, 2)-categories of correspondences
The notion of the *category of correspondences* of a category D with a specified, base change stable, class of morphisms S --- whose objects are those of D and whose morphisms are "spans" in D, one side of which belongs to S --- will be familiar to practitioners of Grothendieck's theory of motives. Perhaps less familiar is the fact that an obvious 2-categorical upgrade of correspondences has a universal property: it is the universal way to attach right adjoints to members of S subject to a base change formula.
In the first talk, after providing some motivation and stating the main results, I will discuss notions of fibration and the Grothendieck fibration in higher category theory which provide a basic part of the framework for my arguments. Although they have their roots in Grothendieck's work on classical categories (SGA4, stack theory), these ideas take on a heightened importance in higher category theory, where they become absoutely indispensable.
- 2020/10/27(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 オンラインで開催
永幡 幸生(新潟大学)
On functional central limit theorem for tagged particle dynamics in stochastic ranking process with space dependent intensities
In this talk, we consider a "parabolic" scaling limit of tagged particle dynamics and that of empirical measure of the position of particles for stochastic ranking process with space-time dependent intensities. A stochastic ranking process is introduced by K.Hattori and T.Hattori in order to explain the reasons why some typical curves is observed in time evolution of ranking of books in online bookstores. T.Hattori characterize this typical curve by means of a "hyperbolic" scaling limit of tagged particle dynamics. He also give a "hyperbolic" scaling limit of empirical measure of the position of particles. We obtained a sum of diffusion process as a "parabolic" scaling limit of tagged particle dynamics. We also obtained a generalized Ornstein-Uhlenbeck process for a "parabolic" scaling limit of empirical measure of the position of particles.
*本セミナーは Zoom を用いて行われます。 参加を希望される方は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)まで お問い合わせ下さい。
- 2020/10/30(Fri) 整数論保型形式セミナー 13:30--14:30 Abstract記載
太田 和惟(大阪大学 理学研究科)
Big Heegner 点と Heegner サイクル
Big Heegner 点とは、Howardによって構成された、肥田変形に付随するオイラー系の一種で、Heegner サイクルは、肥田変形によって補間される楕円保型形式に付随するオイラー系である。両者の関係が Howard によって問題として提起され、近年 Castella によってこれが解決された。本講演では、Castella とは違うアプローチを取ることで、Castella が課していた分岐や重さなどに関する仮定を全て取り除くことができたということを報告する。
$$教室D403(会場都合と感染予防のため,当数学専攻所属でない方は,来場をご遠慮ください)$$
- 2020/10/30(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--17:00 E210
岡本 葵(大阪大学 理学研究科)
吸引的なHartree型 \Phi^4_3 測度と非線形波動方程式のほとんど確実な大域的適切性
空間3次元において,吸引的なHartree型 \Phi^4_3 モデルのGibbs測度について考える.
Bourgain('97)は,指数 \beta>2 のBesselポテンシャルに対して,Gibbs測度を構成している.
本講演では,\beta=2 はGibbs測度が構成可能な最良の指数であることを述べる.
また,Gibbs測度の台に初期値を持つ非線形波動方程式がほとんど確実に時間大域的に適切となることを示す.
適切性の証明では,Gubinelli-Koch-Oh('18)で導入された確率非線形波動方程式に対する擬被制御(paracontrol)解析を用いる.
Hartree型の非線形項に表れる決定論的に意味付けができない部分は,擬被制御作用素の分散性をより精密に解析して,ほとんど確実に定義できることを示す.
本講演の内容は,T. Oh (Univ. of Edinburgh), L. Tolomeo (Univ. Bonn)との共同研究に基づく.
*セミナーの部屋がいつもと異なるのでご注意ください.*
- 2020/11/2(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
Andrew Macpherson(大阪大学大学院理学研究科)
A bivariant Yoneda lemma and (infinity, 2)-categories of correspondences Part 2
Carrying on from last week's talk, I will extend my discussion of fibrations in higher category theory to the bivariant setting and introduce the "bivariant Yoneda lemma" promised in the title. In the process, we will discuss the state of the art for enriched and higher-dimensional categories which is needed to make sense of these constructions.
- 2020/11/9(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
長岡大(東京大学大学院数理科学研究科)
Pathologies on Du Val del Pezzo surfaces in positive characteristic
標数2の代数閉体上では7個の$A_1$-特異点を持つdel Pezzo曲面が存在する一方, 標数0では同じ特異点を持つdel Pezzo曲面が存在しないことが知られている.本講演では, 上述のような, (Du Val特異点を許した)del Pezzo曲面が持ちうる正標数特有の性質(特異点のDynkin type, 非特異な反標準因子の非存在,標数0へのリフト不可能性など)を紹介する.また, これらの正標数特有の性質をもつdel Pezzo曲面の分類結果について解説する.
- 2020/11/9(Mon) 幾何セミナー 13:00--14:30 +オンライン(アブストラクトをご覧ください)
日下部 佑太(大阪大学)
多項式凸集合の補空間の岡性
ある複素多様体が岡多様体であるとは, 任意のStein多様体からの正則写像の拡張問題や近似問題が連続解を持てば正則な解も持つことをいう.
岡多様体の最も基本的な例は複素Euclid空間である.
本講演では, 複素Euclid空間内の閉集合がいつ岡補空間を持つかという問題を考え, 閉多項式凸集合が無限遠においてある条件を満たすならば岡補空間を持つことを示す.
この結果は1989年のGromovの定理を一般化し, さらに2001年にForstnerič-Prezeljが提起した問題を解決する.
------------------
対面でのセミナーです。 聴講者は手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス等感染症への対策にご協力いただくようお願いします。ご協力いただけない場合はご退室をお願いする場合があります。また感染症への対策のため入室人数を制限する場合があります。特に講演開始後の入室ができなくなる場合があります。セミナー室に来られない聴講希望者のためにオンラインでのセミナー映像のリアルタイム配信を企画しております。希望者は以下のフォームに登録お願いします。https://docs.google.com/forms/d/1QZr7GchFF8xlElZd-0k2XTBKm5V6_tStFcjku-p30Pg/edit
- 2020/11/9(Mon) 談話会 17:00--18:00 理学部J棟2階 南部陽一郎ホール+オンライン
安福 悠(日本大学 理工学部)
Schmidtの部分空間定理に基づく双有理不変量と最大公約数
$2^n - 1$ と $3^n - 1$ の最大公約数は,$n$を大きくするとどの程度大きくなるのだろうか?初等整数論より,$O(n)$よりは大きいと分かるが,BugeaudとCorvajaとZannierは,任意の正数$\epsilon$に対して,有限個の$n$を除いて $e^{\epsilon n}$ 以下だと示した.この結果ではSchmidtの部分空間定理と呼ばれる大定理が活用されている.本講演では,Schmidtの部分空間定理やその一般化であるVojta予想の,最大公約数への応用について紹介する.*集中講義の第1回を兼ねます. *Zoomを用いたオンライン配信も行います.数学教室所属でない方で参加を希望される方は,高橋篤史(takahashi "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい.
- 2020/11/10(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 オンラインで開催
森 隆大(京都大学)
$L^p$-Kato class measures and their relations with Sobolev embedding theorems
In this talk, we discuss relationships between the continuous embeddings of Dirichlet spaces into Lebesgue spaces and the integrability of the associated resolvent kernel. To prove these results we introduce $p$-Kato class, an $L^p$-version of the set of Kato class measures, and discuss its properties. We also give variants of such relations corresponding to the Gagliardo-Nirenberg type interpolation inequalities, and to Rellich-Kondrachov type compact embedding theorems. As an application, we discuss the continuity of intersection measures in time. This talk is based on 2005.13758v2.*本セミナーは Zoom を用いて行われます。 参加を希望される方は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)まで お問い合わせ下さい。
- 2020/11/11(Wed) トポロジーセミナー 16:30--18:00 理学部 D505/506 セミナー室
石橋典(京都大学)
Sign stability of mapping classes on punctured surfaces
曲面のTeichmuller空間および測度付き葉層の空間への写像類の作用は, クラスター
代数の枠組みにおいてクラスター多様体への変異ループの作用として統一的かつ組み
合わせ論的に理解できる.
本講演では写像類の擬Anosov性のクラスター代数における類似として変異ループの符
号安定性を導入し, 針孔付き曲面の写像類から定まる変異ループに対しては擬Anosov
性と「一様な符号安定性」とが同値であることを示す. 今回は一般の変異ループにつ
いて詳しく述べることはせず, 曲面の写像類から定まる変異ループに重点を置いてア
イデアを説明したい. 本講演の内容は東京工業大学の狩野隼輔氏との共同研究に基づ
く.
- 2020/11/13(Fri) 整数論保型形式セミナー 13:30--14:30 Abstract記載
安福 悠(日本大学 理工学部)
最大公約数の上界と, 弱めたVojta予想
CorvajaとZannierは,Schmidtの部分空間定理を巧妙に活用することで$x$と$y$を$S$単数としたときの,$\mathrm{GCD}(x-1, y-1)$ の上界を示した.これは,Vojta主予想と呼ばれるディオファントス幾何の予想の,特別な場合と見ることもできる.本講演では,Vojta主予想が示唆する不等式よりは弱い最大公約数の不等式を,S単数同士よりは広い世界で考察する.証明では,Schmidtの部分空間定理に基づくRu-Vojta不変量を用いる.
$$教室D403(会場都合と感染予防のため,当数学専攻所属でない方は来場をご遠慮ください)$$
- 2020/11/13(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--17:00 E210
中村 昌平(大阪大学 理学研究科)
フェルミオン多粒子系に対するシュレディンガー方程式の各点収束問題
本講演はNeal Bez先生(埼玉大学)とSanghyuk Lee先生(Seoul National University)との共同研究に基づく.本講演の主題は,(シュレディンガー方程式に対する)カールソンの各点収束問題,つまりシュレディンガー方程式の自由解が時刻 0 の極限で初期状態に戻るかどうか?という問題である. オリジナルのこの問題は, 1 つの粒子の時刻0付近における振る舞いを問うているが,同様の問題を無限個の粒子からなる系に対して考えてみるとどうなるだろうか? 特に,フェルミオン多粒子系が時刻 0 の極限で初期状態にもどるかどうか,という問題を1次元で考えたい.
*セミナーの部屋がいつもと異なるのでご注意ください.*
- 2020/11/16(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 18:00--19:30 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
原和平(Glasgow大学)
Rank two weak Fano bundles on the del Pezzo threefold of degree five
In this talk, we will discuss the classification of rank two weak Fano bundles on the del Pezzo threefold of degree five. First we classify them into 8 cases and show that all cases are really possible. After that we show stable rank two weak Fano bundles with even first Chern class are instanton in the sense of Kuznetsov, and provide resolutions of them using a full exceptional collection of the derived category.
As an application, we obtain some information about moduli spaces of weak Fano bundles. This is joint work with T. Fukuoka and D. Ishikawa.
- 2020/11/27(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--17:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室
西井良徳(大阪大学 理学研究科)
Energy decay for small solutions to semilinear wave equations with weakly dissipative structure
2次元Euclid空間上で半線形波動方程式の初期値問題を考える.この方程式の解の長時間挙動を考える際, 3次の非線形項が臨界的な状況の一つを与えることはよく知られており,一般に初期値が小さく滑らかでも古典解は有限時間までしか存在しない.古典解の時間大域存在を保証する非線形項の構造条件として null condition は有名であるが,時間を正の方向に限定すれば,より弱い条件の下でも時間大域解が存在することが Agemi,Kubo,Hoshiga 等により指摘されている.本講演では,Agemi 条件下での解の長時間挙動について得られ
た結果を紹介する.本講演は砂川秀明氏(大阪市立大学),寺下拓貴氏との共同研究 (arXiv:2002.09639) に基づく.
- 2020/11/30(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
太田力斗(大阪大学大学院理学研究科)
On relative version of Mori dream spaces
2000年にHu,Keelらによって導入された森夢空間という代数多様体のクラスがある。それらは任意の因子に関するMMPが走るなどの良い性質を持つことが知られている。2014年にAndreatta, Wisnewskiによりaffine variety上の相対版森夢空間が定義され、いくつかの具体例が調べ得られているがこれまでその一般論はあまり研究されてこなかった。講演では彼らによる相対版森夢空間の定義をさらにquasi-projective variety上にまで延長し、その具体例とbase changeや二つの相対的森夢空間の合成について得られた結果について紹介する。また、上に述べたような元の森夢空間について知られているいくつかの良い性質の相対版が成り立つ、という結果ついても余裕があれば述べたい。
- 2020/11/30(Mon) 幾何セミナー 13:00--14:30 E404+オンライン(アブストラクトをご覧ください)
濱中翔太(中央大学)
Decompositions of the space of Riemannian metrics on a compact manifold with boundary
In this talk, I will show some decomposition theorems for the space of all Riemannian metrics on a compact manifold with boundary endowed with a fixed conformal class on the boundary. These are extensions of Koiso’s decomposition theorem and Ebin’s slice theorem to a manifold with boundary, respectively. I will also explain applications to a rigidity theorem of relative constant scalar curvature metrics and a characterization of relative Einstein metrics.
----------------- 対面でのセミナーです。 聴講者は手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス等感染症への対策にご協力いただくようお願いします。ご協力いただけない場合はご退室をお願いする場合があります。また感染症への対策のため入室人数を制限する場合があります。特に講演開始後の入室ができなくなる場合があります。セミナー室に来られない聴講希望者のためにオンラインでのセミナー映像のリアルタイム配信を企画しております。希望者は以下のフォームに登録お願いします。https://docs.google.com/forms/d/1QZr7GchFF8xlElZd-0k2XTBKm5V6_tStFcjku-p30Pg/edit
- 2020/12/7(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
山本貴大(大阪大学大学院理学研究科)
正標数における商特異点の病的現象
商特異点は基本的な特異点であり標数0における商特異点については様々な良い性質が知られている. 特に特異点のクラスを群の各元の age を見るだけで判定できる Reid--Shepherd-Barron--Tai 判定法や代数的不変量と幾何学的不変量を結びつける McKay 対応はとても有用である. これらを正標数における商特異点においても期待するのは自然であるがこれらが成り立たないような病的な例が存在する. 今回は正標数の商特異点で Reid--Shepherd-Barron--Tai
判定法の反例と Euler 標数に関する McKay 対応の反例について紹介する. このような例は講演者の修士論文で初めて構成されたが, その後より一般化された. それに伴い, より多くの正標数におけるクレパント特異点解消の例を得た. また安田氏によってWild McKay 対応が証明され様々な不変量を調べる道具として期待できる. McKay 対応の反例について, この Wild McKay 対応の1つの realization である弦点数を使った計算も紹介したい. この計算は, Serre, Bhargava達による局所体に対する mass formula の一種と見ることができる. またその計算における一つのポイントとして各 G-Cover に対するv-関数がどうのように計算されるかということは重要な問題である. 先行研究で得られていた全ての例ではv-関数は ramification jump から計算できてた. しかし, ramification jump だけからはv-関数の値が決まらない様な例も見つかったのでこれについても紹介する.
- 2020/12/7(Mon) 幾何セミナー 13:00--14:30 E404+オンライン(アブストラクトをご覧ください)
岩井雅崇(大阪市大、RIMS)
正則接ベクトル束が正値性を持つ部分束を含むときの代数多様体の構造について
射影代数多様体Xの正則接ベクトル束$T_X$が正値性を持つとき, Xの構造は限定 されることがわかっている. 例えば, 森から「$T_X$が豊富ならば, Xは複素射影 空間$\mathbb{CP}^n$と同型である」ことが知られており, Campana-Peternellと Demailly-Peternell-Schneiderから「$T_X$がネフならば, XはFano多様体とAbel 多様体で構成される」ことが知られている. これらの結果は$T_X$が巨大や擬有 効のときでも拡張できることがわかっている.
一方でPeternellは「$T_X$の部分束Fが正値性を持つときも, Xの構造は限られ るであろう」と予想した. この講演ではPeternellの問題について, 関連研究や 講演者によって得られた結果を紹介する.
----------------- 対面でのセミナーです。 聴講者は手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス等感染症への対策にご協力いただくようお願いします。ご協力いただけない場合はご退室をお願いする場合があります。また感染症への対策のため入室人数を制限する場合があります。特に講演開始後の入室ができなくなる場合があります。セミナー室に来られない聴講希望者のためにオンラインでのセミナー映像のリアルタイム配信を企画しております。希望者は以下のフォームに登録お願いします。https://docs.google.com/forms/d/1QZr7GchFF8xlElZd-0k2XTBKm5V6_tStFcjku-p30Pg/edit
- 2020/12/8(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 オンラインで開催
針谷 祐(東北大学)
Integral representations for the Hartman-Watson density
This talk is concerned with the density of the Hartman-Watson law. Yor (1980) obtained an integral formula that gives a closed-form expression of the Hartman-Watson density. In this talk, based on Yor's formula, we provide alternative integral representations for the density. As an immediate application, we recover in part a Dufresne's result (2001) that exhibits remarkably simple representations for the laws of exponential additive functionals of Brownian motion. This talk is based on arXiv:1904.00595.
*本セミナーは Zoom を用いて行われます。 参加を希望される方は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)まで お問い合わせ下さい。
- 2020/12/11(Fri) 整数論保型形式セミナー 13:30--14:30 Abstract記載
澤田 晃一郎(大阪大学 理学研究科)
双曲的曲線の配置空間に付随するLie代数からの不変量の復元について
双曲的曲線の配置空間は、高次元遠アーベル多様体の典型的な例である。星氏、南出氏、望月氏は、標数0の代数閉体上の双曲的曲線の配置空間の基本群から種々の幾何的不変量を復元する手法を与えた。本講演では、この"Lie代数類似"について、より正確には、「双曲的曲線の配置空間に付随する次数付きLie代数から次数構造を忘れたもの」からの幾何的不変量の復元について議論する。
$$D403教室(会場都合と感染予防のため,当数学専攻所属でない方は来場をご遠慮ください)$$
- 2020/12/11(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--17:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室
冨田 直人 (新型コロナウイルス拡大の状況を踏まえ,講演は中止となりました)(大阪大学 理学研究科)
L^2 \times L^2 上の S_{0,0} 型の双線形擬微分作用素について
線形の擬微分作用素論における基本定理である Calderon-Vaillancourt の定理が
主張することは、シンボルのある次数までの偏導関数たちが有界であれば、
対応する線形作用素の L^2-有界性が保証されるというものである。
ここで強調すべきは、偏導関数たちの有界性のみが必要であり、
減衰性は一切不要なことである。当然、双線形作用素の枠組みの中で、
Calderon-Vaillancourt の定理に相当する有界性が期待されるが、それは
成り立たないことが知られており、適当なシンボルの減衰性が必要となる。
本講演では、宮地晶彦氏(東京女子大)との共同研究から出発し、
最近の加藤睦也氏(群馬大)、至田直人氏(大阪大)らとの S_{0,0} 型
(微分により評価が変わらないシンボル達)の双線形擬微分作用素を
L^2 \times L^2 という線形の L^2-有界性に相当するシンプルな状況で考え、
その線形の場合とは異なる振る舞いをご紹介したい。
- 2020/12/14(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
藤野 修(大阪大学大学院理学研究科)
Quasi-logスキーム入門
極小モデル理論の基本的な結果は、川又—フィーベック消滅定理と広中の特異点解消定理を駆使したX論法と呼ばれる方法で証明される。残念ながらこのX論法は川又対数的末端対(klt pairs)にしか適用できない。あるいは、X論法がうまく機能する対象として川又対数的末端対なる概念が導入されたという方が正確かもしれない。21世紀に入ると、Ambroによって、X論法の適用範囲を究極的に広げる方法の一つとしてquasi-log構造が考え出された。Hodge理論的な観点からは、従来のX論法は純(pure)で、quasi-logは混合(mixed)への一般化と見なせる。第1回目(12月14日)の講演ではquasi-logスキームの理論の背景や具体例をざっくばらんに話したい。第2回目(12月21日)の講演では、最新の結果を通してquasi-logスキームの考え方の強力さを解説したい。
- 2020/12/16(Wed) トポロジーセミナー 16:30--18:00 阪大理学部オンライン
田神 慶士 氏(水産大学校)
0-トレースが等しい結び目の組を構成する3つの方法とその関係
結び目の0-framingで表される4次元多様体をその結び目の0-トレースという.0-トレースが等しい2つの結び目は一方がスライス結び目なら他方もスライス結び目になるということが知られている.Piccirillo はこの性質に着目し,Conway 結び目と0-トレースが等しいスライスでない結び目を構成することで,Conway 結び目がスライス 結び目でないことを証明した.本講演では,Piccirilloの構成法を含む,0-トレースが等しい結び目の組を構成する3つの方法とそれらの関係を紹介する.さらに,その関係を向き付けられた結び目の場合へ拡張する.
[参加希望者でzoomの情報をお持ちでない方のURL
https://forms.gle/7ZhEMfgixNzYatkt7]
- 2020/12/21(Mon) 談話会 17:00--18:00 オンライン
船野 敬(東北大学大学院情報科学研究科)
UPPER BOUNDS FOR HIGHER-ORDER POINCARE CONSTANTS
閉リーマン多様体に高階のPoincaré定数なるものを導入してそれらを多様体の部分集合の情報で評価をする.これらの評価はラプラシアンの固有値やpラプラシアンの非自明な第一固有値の上からの評価を与える.普通のラプラシアンの固有値の場合はこれらの評価はChung-Grigor’yan-YauやGozlan-Herryによって得られた評価と関係する.我々はさらに似たような評価を境界付きコンパクト多様体のDirichlet境界条件下でのラプラシアンの固有値に対して得た.東北大学の櫻井陽平氏との共同研究に基づく.*集中講義の第1回を兼ねます.*Zoomを用いてオンラインで行われます.数学教室所属でない方で参加を希望される方は,高橋篤史(takahashi "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい.
- 2021/1/4(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
柳田伸太郎(名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
幾何学的導来Hall代数
To\"enの導来Hall代数におけるLusztig構成の類似を動機とした, 導来スタック上の構成可能層の導来無限圏と導来函手の理論について説明します. プレプリント``Geometric derived Hall algebra'' (arXiv:1912.05442) に基づきます. ここでLusztig構成と呼んでいるのは量子群の標準基底の幾何学的構成のことで, Ringel-Hall代数を層と函数の辞書でもって箙の表現のモジュライ空間上の構成可能層を用いるものです. Ringel-Hall代数の場合は考えるモジュライ空間がスキームで済みますが, 導来Hall代数の場合は複体のモジュライ空間を考える必要があって, そこで導来代数幾何学が必要になります. 複体のモジュライ空間はTo\"en-VezzosiやTo\"en-Vaquieの仕事により幾何学的導来スタックで実現できます. そこでLusztig構成の真似をするには, 幾何学的導来スタック上の構成可能層の導来圏と導来函手を導入することになります. Laszlo-Olssonによる代数スタック上の導来圏の理論が知られているので, その適切な導来類似を導入する, というのがこの話の主旨です.
いきなり導来スタックから話を始めることも論理的には可能ですが, Hall代数から始めた方が話が分かりやすくなるし, 私自身もHall代数の場合から研究を始めたので, 以下のような順序でお話しする予定です.
1. Ringel-Hall代数とLusztig構成
2. To\"enの導来Hall代数
3. 導来代数幾何と複体のモジュライ空間
4. 導来スタック上の構成可能層とその導来函手
- 2021/1/19(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 オンラインで開催
竹内 敦司(東京女子大学)
Wasserstein distance on solutions to jump-type stochastic differential equations
Consider solutions to jump-type stochastic differential equations. In this talk, we shall discuss the estimates of the Wasserstein distance on the solutions,and apply to study the jump process on a Riemannian manifold determined by the Marcus-type stochastic differential equation with jumps.
*本セミナーは Zoom を用いて行われます。 参加を希望される方は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)まで お問い合わせ下さい。
- 2021/1/25(Mon) 特別談話会 10:00--11:00 E404(アブストラクトを参照してください)
稲垣 友介(大阪大学 理学研究科)
A characterization of the Fuchsian locus of PSL(n, R)-Hitchin components
【注意事項】
1. 出席者は必ずマスクを着用してください。
2. 本講演はオンラインでの実施に変更せざるをえない場合があります。その場合は数学専攻ホームページにて周知いたします。
- 2021/1/25(Mon) 特別談話会 13:00--14:00 E404(アブストラクトを参照してください)
青井 顕宏(大阪大学 理学研究科)
Constant scalar curvature Kähler metrics on noncompact complex manifolds
【注意事項】
1. 出席者は必ずマスクを着用してください。
2. 本講演はオンラインでの実施に変更せざるをえない場合があります。その場合は数学専攻ホームページにて周知いたします。
- 2021/1/25(Mon) 特別談話会 13:00--14:00 E301(アブストラクトを参照してください)
太田 力斗(大阪大学 理学研究科)
Studies on the geometry of line bundles
【注意事項】
1. 出席者は必ずマスクを着用してください。
2. 今後の動向次第でオンラインとなることもありますので、参加希望者は、あらかじめ高橋篤史(takahashi@math.sci.osaka-u.ac.jp)まで連絡ください。
3. オンラインでの実施に変更する場合には、数学専攻ホームページで周知いたします。
- 2021/1/25(Mon) 特別談話会 14:15--15:15 E301(アブストラクトを参照してください)
山本 貴大(大阪大学 理学研究科)
Pathological phenomena in the wild McKay correspondence
【注意事項】
1. 出席者は必ずマスクを着用してください。
2. 今後の動向次第でオンラインとなることもありますので、参加希望者はあらかじめ高橋篤史(takahashi@math.sci.osaka-u.ac.jp)まで連絡ください。
3. オンラインでの実施に変更する場合には、数学専攻ホームページで周知いたします。
- 2021/1/25(Mon) 特別談話会 15:00--16:00 E404(アブストラクトを参照してください)
盧 玉峰(大阪大学 理学研究科)
Geometry of weighted Finsler spacetimes
【注意事項】
1. 出席者は必ずマスクを着用してください。
2. 本講演はオンラインでの実施に変更せざるをえない場合があります。その場合は数学専攻ホームページにて周知いたします。
- 2021/1/27(Wed) 特別談話会 16:40--17:40 B342(アブストラクトを参照してください)
福永 健吾(大阪大学 理学研究科)
Triple product p-adic L-function attached to p-adic families of modular forms
【注意事項】
1. 出席者は必ずマスクを着用してください。
2. 本講演はオンラインでの実施に変更せざるをえない場合があります。その場合は数学専攻ホームページにて周知いたします。