- 2021/4/12(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
橋詰健太(東京大学大学院数理科学研究科)
Minimal model program for semi-log canonical pairs and partial resolutions
In this talk, I will explain two topics. The first topic
is the minimal model program (MMP, for short) for semi-log canonical (
slc, for short) pairs. Slc pair is a generalization of log canonical
pair. As we can see in results of the abundance conjecture for slc pairs,
the study of slc pairs from the minimal model theoretic viewpoints
plays a crucial role in the recent development of the minimal model
theory. Although the abundance conjecture for slc pairs has been
thoroughly studied, little is known about the MMP for slc pairs. In
general, we cannot always run an MMP for slc pairs, but, Ambro and Koll\
'ar recently gave a special situation in which we can run an MMP for slc
pairs. In this talk, I will introduce a result on MMP for slc pairs
which is an application of their result. The second topic is a partial
resolution of normal varieties called a log canonical modification. I
will explain that a log canonical modification exists in a special
situation, and an analogous result holds for reducible schemes. A part
of this talk is based on a joint work with Professor Osamu Fujino.
- 2021/4/13(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 ハイブリッド形式で開催
濱口 雄史(大阪大学基礎工学研究科)
後退確率Volterra積分方程式に関する近似定理
SDEに関する確率制御問題に現れる随伴方程式として、Bismut (SIAM Rev., 1978) によって線形の後退確率微分方程式 (backward stochastic differential equation; BSDE) が導入された。一般の非線形BSDEはPardoux and Peng (Systems Control Lett., 1990) や El Karoui, Peng and Quenez (Math. Finance, 1997) によって定式化され、現在までに確率制御や偏微分方程式論、数理ファイナンス、経済学などに応用されてきた。一方、確率Volterra積分方程式に関する確率制御問題に現れる随伴方程式として、Yong (Stoch. Anal. Appl., 2006, Probab. Theory Related Fields, 2008) によって後退確率Volterra積分方程式 (backward stochastic Volterra integral equation; BSVIE) が導入された。BSVIEはBSDEのVolterra型の自然な拡張であり、時間非整合性を考慮した確率制御問題や動的リスク尺度、再帰的効用関数などに応用可能である。
本講演では、Type-II BSVIEと呼ばれるクラスのBSVIEの解の近似について得られた結果を紹介する。
第一の主結果は、BSVIEの解のBSDE近似である。これは、適切に構成された有限個のBSDE(系)の解が元のBSVIEの解に収束することを意味する。第二の主結果は、BSVIEの解の数値近似である。すなわち、BSVIEに関するオイラー・丸山近似を構成し、そのL^2収束性を収束の速さの定量評価も含めて証明した。これらの結果は、Yong (2006) によってType-II BSVIEが導入されて以来未解決であった解の評価や連続性に関する複数の問題を、先行研究にはない新しい方法で解決したという点が重要な貢献である。
本講演は、岡山大学異分野基礎科学研究所准教授の田口大氏との共同研究に基づく。
参考文献:
・Y. Hamaguchi and D. Taguchi, Approximations for adapted M-solutions of Type-II backward stochastic Volterra integral equations, arXiv: 2102.08536
・Y. Hamaguchi, Extended backward stochastic Volterra integral equations and their applications to time-inconsistent stochastic recursive control problems, Math. Control Relat. Fields, 11(2) pp: 197--242, 2021
*学外からの方には zoom での参加をお願いいたします。参加を希望される場合は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい。
- 2021/4/14(Wed) トポロジーセミナー 17:00--18:30 online
佐々木東容(学習院大学)
Currents on cusped hyperbolic surfaces and denseness property
双曲曲面上の重み付き単純閉測地線全体の(測度論的)完備化としてThurstonは測度付き測地線層(measured geodesic lamination)を導入し,曲面の写像類群やタイヒミュラー空間の研究に大きな影響を与えた.その一般化としてBonahonは重み付き閉測地線の完備化である測地カレントの概念を導入した.ここでいう完備化とは次のような意味である.「測地カレントの空間は双曲曲面に対して定義でき,双曲曲面上の重み付き閉測地線に対応する測地カレント全体は測地カレントの空間の稠密部分集合となる.」ただし,これまでは双曲曲面がコンパクトである場合にしか示されておらず,講演者は面積有限のカスプ付き双曲曲面においても稠密性定理が成り立つことを示した.今回の講演では測地カレントのさらなる一般化であるサブセットカレントを紹介しつつ,コンパクト双曲曲面とカスプ付き双曲曲面でのカレントの性質の違いに焦点を当てて話したい.
(参加申し込み https://forms.gle/mbeLesrRepehZDrY8)
- 2021/4/19(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
松本雄也(東京理科大学)
Linearly reductive quotient singularities
商特異点(正則局所環への有限群作用による不変部分環)について考える.
標数0での商特異点の性質が標数 p>0 では成り立たないことがあるが,主な原因は,位数が p で割れる群が linearly reductive でない(群の表現の圏が半単純でない)ことである.
本講演ではより一般に有限群スキームによる商特異点を考え,
(1) linearly reductive な有限群スキーム(典型的例は \mu_p であり,linearly reductive でない典型的例は Z/pZ や \alpha_p である)による商特異点がよい性質(商表示の一意性,3次元以上での rigidity など)を満たすことを示す.
(2) 標数0の有理二重点は商特異点であり,標数7以上でも(linearly reductive な有限群スキームによる)商特異点であることが知られているが,標数2,3では商特異点でない有理二重点が存在することを示す.
(Chritsian Liedtke氏(Munchen),Gebhard Martin氏(Bonn)との共同研究.)
- 2021/4/19(Mon) 幾何セミナー 13:00--14:30 E404+オンライン(アブストラクトをご覧ください)
後藤 竜司(大阪大学)
Scalar curvature as moment map on twisted generalized Kahler manifolds (コンパクトリー群の場合を中心にして)
偶数次元非可換コンパクト リー群には通常のケーラー構造は入らないが, Cartan 3-form で twist した一般化されたケーラー構造
( twisted generalized Kahler structures) が存在し, さらに Pin 群の作用により, 一般化されたケーラー構造の変形族が構成される.
このコンパクトリー群の場合を中心に, twist した一般化されたケーラー多様体上において 群作用を持つシンプレクティック幾何の自然な枠組みを作り, 純粋スピノルをもちいてモーメント写像としてスカラー曲率を構成する.
任意の偶数次元コンパクト リー群はスカラー曲率一定の一般化されたケーラー構造を持つことを示し,
また, Hopf 曲面上のスカラー曲率一定な一般化されたケーラー構造についても具体的に議論する.
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 対面でのセミナーです。 聴講者は手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス等感染症への対策にご協力いただくようお願いします。ご協力いただけない場合はご退室をお願いする場合があります。また感染症への対策のため入室人数を制限する場合があります。特に講演開始後の入室ができなくなる場合があります。セミナー室に来られない聴講希望者のためにオンラインでのセミナー映像のリアルタイム配信を企画しております。希望者は以下のフォームに登録お願いします。https://docs.google.com/forms/d/1QZr7GchFF8xlElZd-0k2XTBKm5V6_tStFcjku-p30Pg/edit
- 2021/4/23(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--17:00 オンライン開催に変更
Nico Michele Schiavone(Sapienza University of Rome & 大阪大学)
Non-self-adjoint Dirac operators and their eigenvalues
Non-self-adjoint operators and their spectral properties are recently attracting increasing attention. We introduce the localization problem for the eigenvalues of a perturbed Hamiltonian in terms of the norm of the potential, focalizing our interest in the Dirac operator perturbed by a possibly non-Hermitian potential. We present a new Agmon-H\"ormander type estimate for the free Dirac operator, which combined with the Birman-Schwinger principle prove the enclosure in a compact region of the eigenvalues of the perturbed Dirac operator (and their absence in the massless case). The results are obtained in collaboration with Piero D'Ancona (Sapienza University of Rome) and Luca Fanelli (IkerBasque & Universidad del Pais Vasco).
- 2021/4/26(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
今村 悠希(大阪大学 理学研究科)
Grothendieck enriched categories
Grothendieck圏とは,生成子を持つ余完備なアーベル圏であって,フィルター余極限を取る関手が完全関手になっているような圏のことである.環上の加群の圏やスキーム上の準連接層の圏などがその例である.Grothendieck圏はアーベル圏の中でも特に良い性質を持つことで知られ,injective cogeneratorおよびinjective resolutionの存在や随伴関手定理・関手の表現定理が成り立つ.こうした性質の良さは,任意のGrothendieck圏が加群圏の``良い部分圏''として特徴付けられるという一種の埋め込み定理(Gabriel-Popescuの定理)の系として導出できる.
アーベル圏はプレ加法圏(アーベル群の圏Ab上の豊穣圏)の構造を自然に持ち,Gabriel-Popescuの定理はAb-豊穣圏論での定理であると考えられる.本講演では,より一般のGrothendieckモノイダル圏上の豊穣圏に対して,Ab-豊穣圏論でのGrothendieck圏に相当する性質の良い圏のクラスを定義し,Gabriel-Popescuの定理の類似が成り立つことを証明する.特に,アーベル群の複体の圏Ch上の豊穣圏を考えることでdg圏に対するGrothendieck圏類似が得られるが,準コンパクトかつ準分離的スキーム上の準連接層の複体のなすdg圏がその例になっていることも確認したい.
本講演は講演者の修士論文の結果に基づく.
- 2021/4/26(Mon) 幾何セミナー 13:00--14:30 E404+オンライン
松本 佳彦(大阪大学)
On prolongation and the normal tractor connection for contact manifolds with compatible almost CR structures
多様体上の共形構造に対して定まる正規標準トラクター接続が、Einsteinスケールをみつけるための方程式の延長(prolongation)としても得られることはよく知られている。CR構造に対する正規標準トラクター接続について調べたところ、可積分性の仮定のもとでは同様に不変微分作用素の延長になっているが、可積分性を課さない場合は一般にはそうならないことがわかった。このことについて報告する。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 対面でのセミナーです。 聴講者は手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス等感染症への対策にご協力いただくようお願いします。ご協力いただけない場合はご退室をお願いする場合があります。また感染症への対策のため入室人数を制限する場合があります。特に講演開始後の入室ができなくなる場合があります。セミナー室に来られない聴講希望者のためにオンラインでのセミナー映像のリアルタイム配信を企画しております。希望者は以下のフォームに登録お願いします。https://docs.google.com/forms/d/1QZr7GchFF8xlElZd-0k2XTBKm5V6_tStFcjku-p30Pg/edit
- 2021/5/7(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--17:00 オンライン開催
清水 一慶(大阪大学)
Local well-posedness of the Landau-Lifshitz equation in almost critical Sobolev spaces
本講演では幾何学的PDEの一種であるLandau-Lifshitz方程式について考察する.
Landau-Lifshitz方程式は強磁性体の磁化の時間発展を記述する数理モデルであると同時に
「Schrödinger方程式の幾何学的一般化」としての側面を持ち,
物理学・幾何学・分散型PDEなど多岐にわたる文脈との接点をもつ方程式である.
この方程式に対してはある種の変換を用いることで,
磁場ポテンシャル付き非線形Schrödinger方程式(mSMと呼ぶ)に議論の大部分を帰着できることが知られている.
しかし磁場項のもつ微分非線形性が障害となり解析が難しいという問題点がある.
今回は空間異方性を与える物理項を持つ設定の下で,
ほとんど臨界なSobolev空間において初期値問題が時間局所適切であることを示す.
証明の鍵となるのが解に対するStrichartz型の平滑化評価の獲得である.
我々はmSMに対して磁場ラプラシアンのレゾルベントを用いた表示公式を新たに導出し,
レゾルベントのスペクトル遠方での減衰評価を適用することで上述の評価を得た。
本研究はS. Ibrahim氏(UVic), Y. Bahri氏(UVic)との共同研究に基づく.
- 2021/5/10(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
榎園 誠(東京理科大学)
Vanishing theorem on normal surfaces in positive characteristic
Kodaira vanishing theorem or more generally, Kawamata-Viehweg vanishing theorem is a fundamental tool in algebraic geometry.
Unfortunately, this vanishing theorem fails in positive characteristic.
While many counter-examples have been constructed, there are a few positive results even for surfaces.
In this talk, I explain that the Kawamata-Viehweg vanishing theorem holds for a large class of divisors on surfaces
in positive characteristic and its applications (Reider-type theorem for normal surfaces in positive characteristic,
Serrano's extension theorem, a characterization of rational points on plane curves in terms of rational functions).
- 2021/5/11(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 ハイブリッド形式で開催
世良 透(大阪大学)
間欠力学系のピン留め条件下における一様法則
間欠力学系は中立不動点を持った一次元写像力学系で,間欠現象のトイモデルとして研究されている.本講演では間欠力学系に適当な初期分布およびピン留め条件を置いて,そのときの中立不動点近傍への平均滞在時間について考える.このとき極限分布として一般化一様分布が現れるということを説明する.この結果はピン留め拡散過程の一様法則に動機付けられて得られたものである.本講演はJon Aaronson氏(テルアビブ大学)との共同研究に基づく.
*学外からの方には zoom での参加をお願いいたします。参加を希望される場合は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい。
- 2021/5/14(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--16:20 オンライン開催
程 明港(大阪大学)
空間2次元における非線形波動とKlein-Gordon方程式の連立系に対する大域解と弱零条件
空間2次元で波動方程式と Klein-Gordon 方程式の非線形のシステムについて, 小さな初期値に対して大域解の存在を保証する非線形項の構造条件を考える. このシステムについては, 波動成分が null 条件を満たす場合に大域解の存在が知られている. 今回は, 波動成分が Katayama-Matsumura-Sunagawa ('15) によって非線形波動方程式系に対して導入された null 条件よりも弱い十分条件を満たす場合を調べた. 昨年, 空間3次元における同様の問題について本セミナーで紹介したが, 空間2次元におけるその際の結果の対応物を示すことができたので, これを報告したい.
- 2021/5/17(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
馬 昭平(東京工業大学)
カスプと有理同値
標題の「カスプ」とはいわゆるモジュラー多様体の(ベイリー・ボレル)コンパクト化の境界成分のことである。
1970年代にマニンとドリンフェルトは合同モジュラー曲線の2つのカスプの差がピカール群において有限位数であることを発見した。
代数サイクルの観点からこの現象の高次元版をいくつかの古典的な系列のモジュラー多様体の(ベイリー・ボレル、トロイダル)コンパクト化に対して調べたので、それについて報告する。
- 2021/5/17(Mon) 幾何セミナー 13:00--14:30 E404+オンライン
丸亀泰二(大阪大学)
The Cheng-Yau metric on strictly pseudoconvex domains and global CR invariants
Cheng-Yau計量は強擬凸領域上の双正則不変な完備Kahler-Einstein計量であり, その曲率の境界漸近挙動はCR幾何によって記述される. この講演では, Cheng-Yau計量の特性形式の積分をrenormalizeすることによって境界の大域的CR不変量の族を構成し, 特別な場合として繰り込み体積(全Q-prime曲率)や全I-prime曲率が現れることを説明する. また, 5次元CR多様体の大域的CR不変量の分類に関する結果についても述べる.
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 対面でのセミナーです。 聴講者は手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス等感染症への対策にご協力いただくようお願いします。ご協力いただけない場合はご退室をお願いする場合があります。また感染症への対策のため入室人数を制限する場合があります。特に講演開始後の入室ができなくなる場合があります。セミナー室に来られない聴講希望者のためにオンラインでのセミナー映像のリアルタイム配信を企画しております。希望者は以下のフォームに登録お願いします。https://docs.google.com/forms/d/1QZr7GchFF8xlElZd-0k2XTBKm5V6_tStFcjku-p30Pg/edit
- 2021/5/21(Fri) 微分方程式セミナー 15:30-- オンライン開催
至田 直人(大阪大学)
S_{0,0}型の双線形擬微分作用素とKato-Ponce型の不等式
本講演では S_{0, 0}クラスにシンボルを持つ双線形擬微分作用素を考える.
S_{0, 0}クラスとは微分に応じて評価が変化しないシンボル全体のことであり,
このクラスにシンボルを持つ擬微分作用素は線形の場合と多重線形の場合とで異なる振る舞いを見せることが知られている.
本講演では この型の双線形擬微分作用素に対するベゾフ空間を含む有界性とKato-Ponce型の不等式について得られた結果をご紹介する.
講演内容は濱田直輝氏と冨田直人氏(大阪大学)との共同研究を含む.
- 2021/5/24(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
橋本 義規(東京工業大学)
藤田-尾高のdelta_m不変量のHilbert-Mumford型基準とanticanonically balanced計量
Fano多様体上のKähler-Einstein計量の存在問題は幾何学的不変式論の意味での安定性概念との関連から活発に研究されており,Kähler-Einstein計量の存在と一様Ding安定性が同値であること,さらに,一様Ding安定性は藤田-尾高のdelta不変量がdelta > 1を満たすことと同値であることが近年証明された.一方で,これらの数学的対象には全て適切な有限次元近似列を与えることができる.Kähler-Einstein計量に対してはanticanonically balanced計量と呼ばれる計量が,一様Ding安定性に対しては齋藤-高橋が定義したChow型の安定性が,またdelta不変量にはdelta_m不変量と呼ばれる不変量が適切な意味での有限次元近似を与える.本講演では,anticanonically balanced計量の存在が齋藤-高橋のChow型の安定性と同値であることを示すことによって,これら有限次元近似の間の関連を明らかにする.この系として「delta_m > 1をHilbert-Mumford型基準によって特徴づける」という代数幾何学的結果が得られることも紹介する.
- 2021/5/24(Mon) 幾何セミナー 13:00--14:30 E404+オンライン
辻 寛(大阪大学)
Dilation type inequalities for strongly-convex sets in weighted Riemannian manifolds
dilation不等式はBorell’s lemmaとも呼ばれており,高次元凸幾何学においてよく知られている不等式である.この不等式は,ユークリッド空間上のlog-concave な確率測度の遠方での指数減衰を主張しており,最良なdilation不等式はBobkov-Nazarov(‘08), Fradelizi(‘09)によって独立に構成されている.本講演ではdilation不等式を一種の等周不等式とみなすことによって,重みつきリッチ曲率の制限の下,重みつきリーマン多様体上でのdilation不等式の構成を行う.また時間に余裕があれば応用として,dilation不等式からエントロピーを伴った関数不等式が従うことも紹介したい.
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 対面でのセミナーです。 聴講者は手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス等感染症への対策にご協力いただくようお願いします。ご協力いただけない場合はご退室をお願いする場合があります。また感染症への対策のため入室人数を制限する場合があります。特に講演開始後の入室ができなくなる場合があります。セミナー室に来られない聴講希望者のためにオンラインでのセミナー映像のリアルタイム配信を企画しております。希望者は以下のフォームに登録お願いします。https://docs.google.com/forms/d/1QZr7GchFF8xlElZd-0k2XTBKm5V6_tStFcjku-p30Pg/edit
- 2021/5/25(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 ハイブリッド形式で開催
角田 謙吉(大阪大学)
反応拡散模型に対する混合時間
一次元離散トーラス上の反応拡散模型の混合時間について考える. この模型はDe Masi, Ferrari, Lebowitz により反応拡散方程式を微視的な観点から解析することを目標に導入された. この講演では既存の研究を紹介するとともに, (i)系が``高温’’の時にはrapid mixing, (ii)系が``低温’’の時にはexponentially slow mixingが起きることについて説明する. この講演は(i)東北大学の田中亮吉氏との共同研究及び(ii)講演者の最近の研究に基づく.
*学外からの方には zoom での参加をお願いいたします。参加を希望される場合は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい。
- 2021/5/28(Fri) 微分方程式セミナー 15:30-- オンライン開催
眞崎 聡(大阪大学)
1次元3次クラインゴルドン方程式系の分類と解の長時間挙動
1次元3次のクラインゴルドン方程式2本からなる方程式系の長時間挙動を考える。非線形項は臨界次数であり、解の長時間挙動は非線形項の影響を受ける。これまで、いくつかの個別の例において長時間挙動が調べられていたが、 それらの"全体像"、つまり方程式系においてどれほどの種類の挙動があるのか、はあまり調べられていなかった。ここでは、方程式系に対する一般線形群 Gl2 の作用を未知関数の線形変換によって定め、この作用に関して方程式系の集合を軌道分解することで方程式系の分類を行う。ここでの我々のアイデアは、方程式系を行列とうまく同一視することである。これにより、方程式系の軌道を明解に理解できる。
上記の分類方法によって、既存の方程式系には変換されない方程式系が系統的に導出できる。導出された方程式系の解析により、新しい種類の挙動も得られた。
なお、本講演は瀬片純市氏(九大)、瓜屋航太氏(岡山理大)との共同研究に基く。
- 2021/5/31(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
狩野 隼輔(東北大学)
Categorical dynamical systems arising from sign-stable mutation loops
三角圏とその上の自己関手の対のことを圏論的力学系と呼び、またその複雑さを測る量として圏論的エントロピーと呼ばれるものがある。今回は箙の変異ループのうち、符号安定性と呼ばれる性質を持つものをGinzburgのdg代数の導来圏の自己同値関手に持ち上げ、その圏論的エントロピーの計算を紹介する。一方で、符号安定性は写像類の擬Anosov性の一般化として導入されていたが、自己同値関手の擬Anosov性も幾つか提案されている。時間が許せば、先の自己同値関手の擬Anosov性についても言及したい。
- 2021/6/4(Fri) 微分方程式セミナー 15:30-- オンライン開催
冨田 直人(大阪大学)
L^2 \times L^2 上の S_{0,0} 型の双線形擬微分作用素について
線形の擬微分作用素論における基本定理である Calderon-Vaillancourt の定理が
主張することは、シンボルのある次数までの偏導関数たちが有界であれば、
対応する線形作用素の L^2-有界性が保証されるというものである。
ここで強調すべきは、偏導関数たちの有界性のみが必要であり、
減衰性は一切不要なことである。当然、双線形作用素の枠組みの中で、
Calderon-Vaillancourt の定理に相当する有界性が期待されるが、それは
成り立たないことが知られており、適当なシンボルの減衰性が必要となる。
本講演では、宮地晶彦氏(東京女子大)との共同研究から出発し、
最近の加藤睦也氏(群馬大)、至田直人氏(大阪大)らとの S_{0,0} 型
(微分により評価が変わらないシンボル達)の双線形擬微分作用素を
L^2 \times L^2 という線形の L^2-有界性に相当するシンプルな状況で考え、
その線形の場合とは異なる振る舞いをご紹介したい。
- 2021/6/7(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
松原 祐貴(神戸大学)
放物接続のモジュライ空間と幾何学的ラングランズ対応について
We consider the moduli space of logarithmic connections of rank 2 on the projective line minus 5 points with fixed spectral data.
We compute the cohomology of such moduli space, and this computation will be used to extend the results of Geometric Langlands Correspondence due to D. Arinkin to the case where this type of connection has five simple poles on P1.
In this talk, I will review the Geometric Langlands Correspondence in the tamely ramified cases, and after that, I will explain how the cohomology of the above moduli space will be used.
- 2021/6/8(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 ハイブリッド形式で開催
平井 祐紀(大阪大学)
無限次元の伊藤-Föllmer解析
伊藤-Föllmer解析は確率解析に対するパス毎のアプローチの一つである。Föllmer (1981)は,分割列に沿った2次変分を持つパスについて伊藤の公式が成り立つことを証明した。それにより、2次変分をもつ決定論的なパスによる伊藤積分の理論が展開できるようになり、特にファイナンスへの応用の観点から近年盛んに調べられている。本講演では、伊藤-Föllmer解析の無限次元のパスへの拡張について紹介する。
*学外からの方には zoom での参加をお願いいたします。参加を希望される場合は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい。
- 2021/6/9(Wed) トポロジーセミナー 17:00--18:30 オンラインで開催
井口大幹 (広島大学)
Distance and the Goeritz groups of bridge decompositions
3 次元多様体内の絡み目の橋分解は, Heegaard 曲面による絡み目の 2 つの“自明タングル”への分解である. 絡み目の橋分解に対し, その Goeritz 群は分解を保つ 3 次元多様体の自己同相写像のイソトピー類がなす群として定義される. 本講演では, 分解の複雑度である距離が 6 以上であるならば Goeritz 群は有限群であることを証明する. 本研究は古宇田悠哉氏(広島大学)との共同研究である.
参加希望の方は google form
https://forms.gle/vrpZQYBXhVcTdCRf9
に登録して下さい.
- 2021/6/11(Fri) 微分方程式セミナー 15:30-- オンライン開催
木下 真也(埼玉大学)
球対称な初期値を持つ非線形 Schr\"{o}dinger 方程式の時間局所適切性
本講演では, 空間を二次元とし, 球対称性の仮定下で二次の非線形項 |u|^2 をもつ非線形シュレディンガー方程式のソボレフ空間 H^s の枠組みでの初期値問題について考える. 正則性をあらわす s が -1/4 より小さい場合には Iwabuchi-Uriya (2015) により非適切 (norm inflation) であることが示されている. 球対称性を仮定することで s >-1/2 での時間局所適切が成立し, この結果がある意味で最良のものであることを述べる. 本講演では特に、証明の鍵となる合成積評価について詳しく紹介したい. なお, 本講演の内容は大阪大学の岡本 葵氏と宮崎大学の平山 浩之氏との共同研究に基づく.
- 2021/6/14(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
廣惠 一希(千葉大学)
線形常微分方程式の不確定特異点の開折とモジュライ空間の変形について
微分方程式の不確定特異点を調べるために,いくつかの確定特異点を「合流」させて不確定特異点を作るという手法がある.例えばGaussの超幾何微分方程式の特異点を合流させることでKummer, Hermite-Weber, Bessel, Airyといった不確定特異点を持つ微分方程式が得られることはよく知られている.
本講演ではこのGaussの微分方程式の例に代表されるような,確定特異点と不確定特異点を結ぶ微分方程式の「良い」族の構成について考える.特に,(不分岐な)不確定特異点をもつ微分方程式のモジュライ空間とその変形族を不確定特異点の開折(合流の逆操作)を用いて構成する方法について解説したい.この変形の(局所的な)切断が目的の微分方程式の族を与えることになる.
- 2021/6/18(Fri) 微分方程式セミナー 15:30-- オンライン開催
宮崎 隼人(香川大学)
Asymptotic behavior of solutions to the long-range nonlinear Schr\"odinger equation on a star graph
頂点にKirchhoff境界条件を課した星グラフ上のべき型非線形Schr\"odinger方程式 (NLS) について考察する.
グラフ上の非線形偏微分方程式は, 分岐構造を考慮した数理モデルを考えると自然に現れ, 星グラフはそのような構造のプロトタイプに相当する.
直線上のNLSの解の長時間挙動は, 非線形項のべきの大きさによって, 解が時刻無限大で自由解に漸近する短距離型, 非線形性の影響から自由解に漸近しない長距離型に分類される.
本講演では, 非線形項のべきが長距離型のとき, 直線上のNLSの先行研究に対応する結果を, Kirchhoff境界条件を課した星グラフ上のNLSで得られたことを報告する.
星グラフ上での解析の鍵は, 星グラフ上のSchr\"odinger作用素をDollard分解と呼ばれる4つの要素に分解することである. その際に用いるWeder (2015) による星グラフ上の一般化Fourier変換の性質を調べることで, 解の漸近挙動の解析が可能となる.
なお本講演は, 青木和貴氏, 戍亥隆恭氏 (大阪大), 水谷治哉氏 (大阪大), 瓜屋航太氏 (岡山理科大) との共同研究に基づく.
- 2021/6/21(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
柴田 崇広(National University of Singapore)
Invariant subvarieties with small dynamical degree
射影多様体上の自己射が与えられたとき、様々な力学系的な問題が考えられる。ここでは不変な部分多様体でその力学次数が元の力学次数よりも真に小さいようなものについて考える。算術次数と呼ばれる数論的な不変量の考察に基づいて、そのような部分多様体は「少ない」ことが予想される。この講演では、いくつかの特別な場合にこの予想が成り立つことを紹介する。この講演は松澤陽介氏、Sheng Meng氏、De-Qi Zhang氏、Guolei Zhong氏との共同研究に基づく。
- 2021/6/21(Mon) 幾何セミナー 13:00--14:30 オンライン(E404にてスライド上映予定)
松村 慎一(東北大学)
On projective manifolds with non-negative holomorphic sectional curvature
この講演では, 非負の正則断面曲率を持つ射影多様体について議論します.
まず, YauのSchwarz's Lemmaを復習し, 正則断面曲率と有理曲線(P^1の正則写像によるの像)の関係を考察します.
次に, 「正の正則断面曲率を持つ多様体は有理連結か(任意の2点を有理曲線で結べるか)」
を問うYauの問題について考え, この問題のYangによる解決および講演者の準正性への一般化を解説します.
最後に, 非負の正則断面曲率を持つ射影多様体が有理連結な多様体と平坦曲率な多様体から''構成できる''ことを説明します.
これは非負の正則双断面曲率に対するHoward-Smyth-Wu, Mokの結果の正則断面曲率版だとみなせます.
証明では, 葉層構造, 有理連結射, 特異計量, RC正値性(と呼ばれるpartialな正値性)が鍵となります.
---- オンライン上でセミナーです聴講希望者は以下のフォームに登録お願いします。https://docs.google.com/forms/d/1QZr7GchFF8xlElZd-0k2XTBKm5V6_tStFcjku-p30Pg/edit
- 2021/6/21(Mon) 談話会 16:30--17:30 オンラインで講演 集中講義の1回目を兼ねます
松村 慎一(東北大学)
非負曲率を持つ射影多様体の構造について
代数幾何, (複素)微分幾何に現れる様々な''正値性''を紹介し,
適切な意味で''非負曲率''を持つ射影多様体の構造について話します.
Siu-YauによるFrankel予想/MoriによるHartshorne予想の解決により,
''正曲率''の接ベクトル束を持つ射影多様体は射影空間に限ることが示されました.
''非負曲率''の射影多様体の構造や分類の研究は, この成果の自然な一般化であり, 魅力的なテーマです.
この講演の前半では, この研究の歴史を概観した後に, 講演者によって得られたいくつかの構造定理を紹介します.
後半では, 双有理幾何の視点から, 非負曲率の反標準束に対する構造定理を説明します.
その証明で重要となる特異計量を用いた順像層の複素解析的な正値性についても紹介します.
- 2021/6/22(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 オンラインで開催
松田 響 (Berlin 自由大学)
Simple construction of Schrödinger operators with singular random potentials
Motivated by recent developments in singular SPDEs, Schrödinger operators with singular (Gaussian) random potentials have attracted much attention. In this talk, after reviewing previous results in this field, I will discuss simple construction of such Schrödinger operators, which is based on standard techniques of symmetric forms. Furthermore, I will discuss asymptotics of the parabolic equation associated to those operators with singular Gaussian random potentials. The talk is based on joint work with Willem van Zuijlen (WIAS). *本セミナーは Zoom を用いて行われます。 参加を希望される方は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)まで お問い合わせ下さい。
- 2021/6/25(Fri) 微分方程式セミナー 15:30-- オンライン開催
牛越 惠理佳(横浜国立大学大学院)
極端なアスペクト比を伴う断面をもつ細い弾性体に関する固有値問題
本講演では,3次元における柱状の均質等方弾性体の変形に伴う固有値の漸近挙動の解析を行う.板状の弾性体の固有振動の解析は,Cirlet-Kesavan(1981)を始めとして数多くの研究がなされてきた.一方,より複雑な解析が必要とされる柱状弾性体については,Irago-Viaño-Kerdrid(1998)やTanbača(2001)によって遅れて研究が展開されている.ただし,これらは断面が一様な柱状弾性体に限定されており,近年になって,Jimbo-Rodríguez Mulet(2020)で,これまで扱われていなかった断面形状が非一様の柱状物体を対象とし,さらに同弾性体の「曲げモード」の弾性体の振動モード形に対する固有値の漸近挙動の解析に成功している.本講演では,Jimbo-Rodríguez Mulet(2020)と同様の細い柱状弾性体を扱うが,各断面が1方向に極端につぶれているような場合の固有値の精密な挙動を解析する.なお本講演は,北海道大学の神保秀一氏と横浜国立大学卒業生の吉原広将氏との共同研究に基づく.
- 2021/6/28(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
山本 悠登(IBS Center for Geometry and Physics)
トロピカルCalabi--Yau超曲面の周期
穴あき円盤$D \setminus \left\{ 0 \right\}$上の$d$次元トーリックCalabi--Yau超曲面の退化族が定める、入谷の留数B模型Hodge構造の変動を考える。これは、円盤$D$上の加藤--臼井の意味の対数的偏極Hodge構造の変動(LVHS)に自然に拡張される。一方で、退化族のトロピカル化として、特異性付き整アフィン構造を持つ$d$次元球面$B$を構成することができる。radiance obstructionと呼ばれる$B$の不変量を用いて、standard log point上の偏極対数的Hodge構造を構成し、これを$B$のトロピカル周期と呼ぶことにする。本講演では、退化族が定めるLVHSの$\left\{ 0 \right\}$への制限が、$B$のトロピカル周期に一致することを示す。
- 2021/6/28(Mon) 談話会談話会(集中講義の第1回の一部を兼ねる) 17:00--18:00 ハイブリッド形式で開催
安田 正大(北海道大学/大学院理学研究院)
p 進 Hodge 理論―比較定理の進展
p進 Hodge 理論とはどのようなものかについて, 比較定理と呼ばれるものを中心に, 基礎的な考え方から最近の進展に至るまでを概説する.
- 2021/6/30(Wed) トポロジーセミナー 17:00--18:30 理学部 D505/506 セミナー室
久野恵理香(大阪大学)
向き付け不可能曲面の曲線グラフと直角アルティン群
Koberda と Kim-Koberda により,向き付け可能曲面の写像類群の直角アルティン部分群を曲線グラフから特徴づける研究がなされた.向き付け不可能曲面に対しては,通常の曲線グラフを用いて,その写像類群の直角アルティン部分群を特徴づけることは困難であった.そこで,双側曲線からなる曲線グラフを用いて,向き付け不可能曲面の写像類群の直角アルティン部分群について考察したので,得られた結果について説明する.本研究は学習院大学の片山拓弥氏との共同研究である.
【この講演のzoomでの参加登録のリンクは以下です。
https://forms.gle/nqqP2xBui2boWjR46】
- 2021/7/2(Fri) 微分方程式セミナー 15:30-- オンライン開催
砂川 秀明(大阪市立大学)
Nonlinear Schrodinger equations with weakly dissipative structure
I will give a survey on recent progress on nonlinear Schrodinger equations possessing weakly dissipative structure.
This talk is based on joint works with Chunhua Li, Yoshinori Nishii and Yuji Sagawa.
- 2021/7/5(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 17:30--19:00 (注意:いつもとセミナーの時間帯が異なります)For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
小関 直紀(The University of Edinburgh)
導来圏上のtilt 安定性とその応用
代数多様体の導来圏に対して定義されるtilt安定性という概念は近年活発に研究されており、様々な問題に応用されている。それらの応用の中から、強い形のBogomolov 不等式やBridgeland 安定性条件の構成について解説する。
- 2021/7/9(Fri) 微分方程式セミナー 15:30-- オンライン開催
石塚 健二郎(京都大学数理解析研究所)
消散項を持つ非線形クライン・ゴルドン方程式の2ソリトン周りの大域ダイナミクス
消散項を持つ非線形クライン・ゴルドン方程式について考える。この方程式は大域挙
動が近年研究されており、Cote-Martel-Yuan(2021)では1次元の場合において、
大域解が時間が経ったときにn個のソリトンの和に漸近する「nソリトン解」、または
0に収束する「減衰解」になることを示した。一方、nソリトン解の近傍における初期
値と大域挙動の関係性はわかっていない。本講演では2ソリトン解近傍の初期値にお
いて、「2ソリトン解集合」、2つの「1ソリトン解集合」、「減衰解集合」、そして
「爆発解集合」の5つの連結な集合に分類でき、さらに減衰解集合と爆発解集合の境
界が2つの1ソリトン解集合と2ソリトン解集合の和集合になっていることを示す。本
講演は京都大学の中西賢次氏との共同研究に基づく。
- 2021/7/12(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
平野 雄貴(京都大学)
Equivariant tilting modules, Pfaffian varieties and noncommutative matrix factorizations
傾斜束を持つ代数多様体上の連接層の導来圏は、傾斜束の自己準同型環上の加群の導来圏と同値になることが知られている。本講演では、その類似が行列因子化の圏に対して成り立つことを解説する。また、その結果の応用として、ある種の射影多様体上の連接層の導来圏が非可換な行列因子化の圏と同値になることを紹介する。
- 2021/7/14(Wed) トポロジーセミナー 17:00--18:30 オンライン(Zoom)
菅原 朔見(北海道大学)
Divides with cusps and Kirby diagrams for line arrangements
$\mathbb{C}^l$内のアフィン超平面の有限集合を超平面配置という。超平面配置のトポロジーにおいて、超平面配置が実超平面を複素化して得られる場合は、補集合のセル分割が実構造を用いて記述されることが知られている。本講演では、特に$l=2$すなわち直線配置の場合に対して、より精密な情報であるハンドル分解を得ることができたので、それを紹介する。また、直線配置の補集合は実$4$次元多様体となり、Kirby図式によりハンドル分解を表すことができる。直線配置の補集合のKirby図式を、divideの一般化であるカスプ付きdivideを用いて記述することができたので、それについても紹介する。本講演の内容は、吉永正彦氏(北海道大学)との共同研究に基づく。
【世話人からのお知らせ】参加ご希望の方は講演前日の正午までに以下のサイトでお申し込み下さい(今年度に参加申込みされた方はご不要です)。 https://forms.gle/o5L7oKUswEWdnTF79
- 2021/7/16(Fri) 微分方程式セミナー 15:30-- オンライン開催
佐野 めぐみ(広島大学)
The critical Hardy inequality on the half-space via harmonic transplantation
古典的なHardy不等式は、臨界ソボレフ空間上では破綻する。
しかし有界領域の場合は、領域の直径に依存した量をもつ対数関数を付加した不等式(臨界Hardy不等式)が
知られており、最良定数やその達成可能性が研究されている。
本研究では非有界領域、特に半空間上での臨界Hardy不等式について考察したい。
まず本講演では、Hersch(1969)により導入された harmonic transplantation を、
メビウス変換(dilationやCayley変換等)と比較しながら説明し、
これまでの関数不等式に対する様々な変換の統一的な解釈を述べる。
harmonic transplantation は領域上のGreen関数(基本解)を用いた変換であるが、
半空間で$p-$ラプラシアンの場合は、その具体形は分かっていないと見受けられる。
本研究では少し変形した harmonic transplantation を用いて、
半空間上の古典的Hardy不等式を改良し、
その極限形として半空間上での臨界Hardy不等式が得られることを示す。
本研究は高橋太氏(大阪市立大学)との共同研究に基づく。
- 2021/7/19(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
大内 元気(名古屋大学)
Categorical entropy for K3 surfaces
Dimitrov-Haiden-Katzarkov-Kontsevichは、三角圏上の自己完全関手に対してその力学系的な複雑さを測る圏論的エントロピーという不変量を導入した。本講演では、圏論的エントロピーと位相的エントロピー、スペクトル半径などの他の不変量との関係について整理した後に、K3曲面の導来圏の具体的な自己同値の圏論的エントロピーについて調べる。さらに、Sheridan-SmithによるK3曲面のホモロジー的ミラー対称性を用いて、代数幾何学だけでなくシンプレクティック幾何学の視点からも上記の結果について見直す。本講演は菊田康平氏との共同研究に基づく。
- 2021/7/26(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
Chen Jiang (Fudan University)
Explicit boundedness of canonical Fano 3-folds: known results and open problems
Motivated by the classification of canonical Fano 3-folds, we are interested in boundedness results on different kinds of canonical Fano 3-folds, such as anticanonical systems, indices, degrees, and so on. I will summarize known results with some progress (based on joint works with Meng Chen and Yu Zou) and open problems in this area.
- 2021/7/27(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 ハイブリッド形式で開催
兼子 晃寛(大阪大学)
スパースグリッドを用いた後退確率差分方程式の数値解法の研究
後退確率差分方程式 (Backward Stochastic Difference Equation ; BS∆Eと略記) は、その連続時間版である後退確率微分方程式 (Backward Stochastic Differential Equation ; BSDEと略記) と比べ、ノイズ過程の従う分布に関して自由度が高く、幅広い応用可能性を持つ。講演者は、高次元連続状態空間を持つBSΔEに対応した数値解法として、一次元求積/補間アルゴリズムの効率的高次元化手法であるスパースグリッド法を用いた手法を開発し、その誤差評価を行った。本講演では、BSΔEやスパースグリッド法の紹介を交えつつ、開発手法の定式化や誤差評価を理論的に与える。 *学外からの方には zoom での参加をお願いいたします。参加を希望される場合は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい。
- 2021/7/28(Wed) トポロジーセミナー 10--11:30 zoom
Lorenzo Ruffoni(Tufts University)
Tame and relatively elliptic CP1-structures on surfaces
Projective geometry provides a common framework for the study of classical Euclidean, spherical, and hyperbolic geometry. A major difference with the classical geometries is that a projective structure is not completely determined by its holonomy representation. In general, a complete description of the space of structures with the same holonomy is still missing. We will consider certain structures on punctured surfaces, and we will discuss how to describe all of those with a given holonomy in the case of the thrice-punctured sphere. This is done in terms of a certain geometric surgery known as grafting. Our approach involves a study of the Möbius completion, and of certain meromorphic differentials on Riemann surfaces. This is joint work with Sam Ballas, Phil Bowers, and Alex Casella.
【通常と時間が異なります。新規の参加登録: https://forms.gle/nAj73s7ZdZox2ezf6】
- 2021/10/4(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
Sampei Usui(Emeritus professor of Osaka University)
群作用付き周期領域の諸拡張とそれらの関係 (Relationship of various extensions of period domains with group actions)
次の論文の概説をする。K. Kato, C. Nakayama, S. Usui, Classifying spaces of degenerating mixed Hodge structures, V: Extended period domains and algebraic groups, arXiv: 2107.03561 [math.AG]. 線形代数群の作用付きの混合ホッジ構造の分類空間の拡張として、冪零軌道の空間、SL(2)軌道の空間、Borel-Serre軌道の空間がある。SL(2)軌道定理と対数構造を使った幾何によりこの3通りの拡張空間の関係を表したものを基本図式と呼ぶ。これは次のような応用を持つ。1) 群作用付き対数的混合ホッジ構造のfine moduliとしての理解。 2) Hain-Zucker (2006)の高次Albanese多様体上に普遍族を載せfine moduliとしトロイダル部分コンパクト化を構成した。3) Goresky-Tai (1999)の志村多様体の場合のreductive Borel-Serre コンパクト化からトロイダル・コンパクト化へのコホモロジー射の別証明とその一般化。 例を用いてできるだけ分りやすく説明したい。
- 2021/10/4(Mon) 談話会(集中講義の第1回を兼ねる) 17:00--18:00 オンライン開催
種村秀紀(慶応義塾大学)
Airy 点過程に対応する無限次元確率微分方程式
ランダム行列過程の固有値である確率過程について論じる。
考えるランダム行列は、対角成分が実ブラウン運動、非対角成分が複素ブラウン運動であるエルミート値過程であり、GUE過程と呼ばれているものである。
2種類のスケーリング(バルクスケーリング、ソフトエッジスケーリング)のもとで、行列のサイズを無限大にしたときに無限次元確率過程に収束すること、そしてそれらが確率微分方程式で表されることを紹介する。
さらにその確率微分方程式の強解の存在と一意性についても論じる。
(長田 博文氏(九州大学)との共同研究)
- 2021/10/8(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--17:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室
片山 聡一郎(大阪大学)
半線形波動もしくはシュレディンガー方程式に対する漸近自由解と零条件
半線形の波動方程式系あるいはシュレディンガー方程式系の小さな初期値に対する初期値問題を考える. 臨界次数の非線形項の場合には一般には大域解は存在しない. 大域解存在の十分条件として零条件(null condition)という条件が知られている. 零条件下では大域解は自由解に漸近することも知られている. 近年では, 零条件よりも弱い十分条件もいくつか知られているが, これらの条件下では大域解は様々な漸近挙動をもつ.
本講演では, 弱い十分条件の一つの下で, ある関数が, 大域解が漸近するような自由解の初期値となるための必要条件を統一的な形で与える. 応用として, 解の漸近挙動の観点からの零条件の特徴づけを紹介する.
- 2021/10/11(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 online For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
川谷康太郎(大和大学)
射の圏と安定性条件の空間について
Bridgelandにより定義された三角圏D上の安定性条件の空間Stab(D)は複素多様体となる。これは、位相幾何学な観点での局所的な”自明性”を意味する。一方、大域的な”自明性”であるStab(D)の可縮性が期待されている。講演者は可縮性について考察する過程で、三角圏Dの射を対象とする三角圏である「射の圏Mor(D)」の安定性条件の空間Stab(Mor(D))を研究するに至った。本講演では、Stab(Mor(D))に関する問題意識をいくつか紹介した後に、それぞれの問題に対して、Dが(1) ネター的アフィンスキームの導来圏の場合、(2) 一般の三角圏の場合 に、答えとなる結果とその後の展望について解説する。さらに時間の許す限り、これらの結果に対する証明のアイディアを紹介をする。
- 2021/10/12(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 オンラインセミナー
須田 颯(慶應義塾大学)
Scaling limits of the stochastic eight vertex model
本講演では, [Funaki-Nishijima-Suda-21] により導入された Stochastic eight vertex model (S8V) と呼ばれる一次元格子上の粒子系における時空間スケール極限を考察する. S8V とは, [Gwa-Spohn-92] により導入された Stochastic six vertex model (S6V) の拡張であり, 系の粒子数が時間発展で変化しない S6V に対し, S8V は粒子の生成消滅が生じるモデルである. S6V では, 弱い非対称性の仮定 (ダイナミクスの非対称部分は系のサイズ N に対して N^{-1/2} で減衰) と拡散的時空間スケーリングのもとで, その巨視的な平衡揺らぎが Stochastic Burgers equation に従うことが知られている [Corwin-Ghosal-Shen-Tsai-20]. 本講演では, S6V の場合と類似した仮定のもとで, S8V の巨視的な平衡揺らぎとして新しいタイプの Stochastic Burgers equation が導出されることを紹介する.
*本セミナーは Zoom を用いて行われます。参加を希望される方は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい。
- 2021/10/15(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--17:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室
水谷 治哉(大阪大学)
Uniform resolvent, smoothing and Strichartz estimates for generalized Schr\"odinger operators with Hardy potentials
分数ベキあるいは高階のラプラシアンにスケール臨界なハーディーポテンシャルを摂動した一般化シュレディンガー作用素に対する一様レゾルベント評価、局所平滑化作用、ストリッカーツ評価についての最近の結果を紹介する。通常の2階の場合には、ハンケル関数を用いた一般化フーリエ変換の構成や重みつきエネルギー法を用いたレゾルベント評価の証明方法が知られている。今回はレゾルベント評価の証明に、ムーレ理論をもとにした保城の手法を用いる。これによって作用素の階数に依存しない統一的な扱いが可能となる。この講演は Xiaohua Yao 氏 (華中師範大学) との共同研究 arXiv:2002.02163 にもとづく。
- 2021/10/18(Mon) 幾何セミナー 13:00--14:30 E404+オンライン
宮武夏雄(大阪大学)
Generalized Kazdan-Warner equations associated with a linear action of a torus on a complex vector space
Generalized Kazdan-Warner equation とは, 講演者が導入したRiemann多様体上の二階の非線形楕円型偏微分方程式で, Kazdan-Warner方程式や戸田方程式を形式的に一般化したものです. 今回の講演では, まず講演者によるGeneralized Kazdan-Warner equationの解の存在と一意性の定理を紹介します. 次に, コンパクトK\"ahler多様体上の調和束のKobayashi-Hitchin対応に関するSimpsonの定理について, 正則ベクトル束が直線束の直和に分解し, かつ多重調和計量がその直和分解に対して対角形となる, という仮定の下で主定理を用いて別証明を与えます. 最後に, 多様体が葉層構造を持つ場合の主定理の拡張について簡単にご紹介します.
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 対面でのセミナーです。 聴講者は手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス等感染症への対策にご協力いただくようお願いします。ご協力いただけない場合はご退室をお願いする場合があります。また感染症への対策のため入室人数を制限する場合があります。特に講演開始後の入室ができなくなる場合があります。セミナー室に来られない聴講希望者のためにオンラインでのセミナー映像のリアルタイム配信を企画しております。希望者は以下のフォームに登録お願いします。
(すでに今年度中に登録いただいた場合はZoomIdを引き続きご利用いただけます.再度登録いただく必要はありません)
https://docs.google.com/forms/d/1QZr7GchFF8xlElZd-0k2XTBKm5V6_tStFcjku-p30Pg/edit
- 2021/10/18(Mon) 談話会(集中講義の第1回を兼ねる) 17:00--18:00 オンライン形式
前田昌也(千葉大学)
非線形分散型方程式のソリトン解の漸近安定性について
非線形分散型方程式はソリトン解と呼ばれる空間的に孤立した進行波解を持つことが多い。
ソリトン解は非線形分散型方程式のある意味もっとも典型的な解であり、その存在、安定性は数学的にも物理学的にも多くの関心を集めてきた。
この講演ではソリトンの漸近安定性について、その研究の進展を振り返りながら、特に Internal modeと呼ばれる線形化作用素の中立固有値が生み出す困難とそれに対する部分的な解決についてお話ししたい。
- 2021/10/20(Wed) トポロジーセミナー 17:00--18:30 理学部 D505/506 セミナー室
大場 貴裕(大阪大学 理学研究科)
4次元 Dehnツイストの間の関係式と擬正則曲線の手法
曲面上で定義される Dehnツイストはトポロジーの様々な文脈で現れる.今回のセミナーではこの高次元化に相当する,4次元シンプレクティック多様体上で定義される4次元 Dehnツイストについて話す.とくに,4次元 Dehnツイストの間の関係式の構成法について紹介する.
セミナーではこの研究のモチベーションについて話したあとに,4次元 Dehnツイストなどの定義を振り返り,関係式の構成の概略を話す.構成の鍵となる結果には擬正則曲線の手法も用いるため,それに関しても触れる予定である.
- 2021/10/22(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--16:20 オンライン開催
前田 昌也(千葉大学)
On selection of standing wave at small energy in the 1D cubic Schrödinger equation with a trapping potential
In this talk, we consider the long time behavior of small solutions of 1D cubic Schrödinger equation with a potential.
We assume that the potential has several bound states and show that any small solution locally converge to one of the family of nonlinear bound states bifurcating from the linear bound state.
To overcome the long range nature of the nonlinearity, we combine the virial argument developed by Kowalczyk, Martel, Munoz and Van Den Bosch with our theory of refined profiles.
This talk is base on the joint work with Scipio Cuccagna in Trieste University.
- 2021/10/25(Mon) 談話会談話会(集中講義の第1回の一部を兼ねる) 17:00--18:00 ハイブリッド形式(E404+Zoom)
平井 広志(東京大学情報理工学系研究科)
CAT(0)空間上のアルゴリズムと最適化について
CAT(0)空間と呼ばれるユークリッド空間や双曲空間を一般化した距離空間がある.CAT(0)とは,「曲率が非正」ということを意味している.この空間は,ユークリッド空間で成り立つ様々な良い性質を引き継いでいる.特に,任意の2点を結ぶ測地線(≃最短路)が一意に定まる.このことから凸関数なども自然に定義される.近年,CAT(0)空間を利用したモデリングやその上でのアルゴリズム・最適化理論が展開され始めている.本講演では,そのような試みの一端を紹介する.
- 2021/10/26(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 ハイブリッド形式で開催
池田 光優(大阪大学)
連続時間確率過程のモデル検査について
近年,ソフトウェアやハードウェアのデザインが複雑になるにつれ.それらのシステムの検証にコストが割かれるようになった.モデル検査とは,システムが取りうる状態やシステムの安全性を,グラフ理論やマルコフ過程,様相論理などを用いて記述し,検証する方法である.本研究では連続時間確率過程によって記述されたシステムが,線形時相様相論理によって定義された性質を満たす確率について調べる.様相論理は,確率過程の見本経路と時刻に関して自然に与えられるものである.しかし,様相論理によって定義された事象の可測性すら自明ではない.そのため,まず事象の可測性から議論を行い,次にブラウン運動のような標準的な確率過程が様相論理によって定められた性質を満たす確率を調べる.なお,本研究は名古屋大学の木原貴行氏と産業技術総合研究所の山形頼之氏との共同研究である.*学外からの方には zoom での参加をお願いいたします。参加を希望される場合は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい。
- 2021/10/27(Wed) トポロジーセミナー 17:00--18:30 理学部 E404/406/408 大セミナー室
河澄響矢(東京大学)
A double version of Turaev’s gate derivatives
柏原 Vergne 問題は枠付き曲面の Goldman-Turaev Lie 双代数の形式化問題として捉えることができる。その際、代数的な文脈で現れる発散コサイクルは幾何的には捉え難いものだった。しかし、A. Alekseev氏(Geneva 大)、久野雄介氏(津田塾大)および F. Naef 氏(Copenhagen大) との共同研究によって、Turaev が最近導入した gate 導分のダブル版として発散コサイクルを幾何的に表示することができ、発散コサイクルによるTuraev 余括弧積の表示公式も幾何的に証明できた。この表示公式は Goldman-Turaev Lie 双代数の形式化問題の鍵となる補題である。これらについてご報告したい。
- 2021/10/29(Fri) 微分方程式セミナー 15:00--17:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室
岡部 考宏(大阪大学)
Control of weak solutions of the Navier-Stokes equations by external forcing
全空間上の非圧縮ナビエ・ストークス方程式の解に対する時間大域挙動について 考察を行う。
解のエネルギー時間減衰については、非線形項の制御が鍵であり、Fujigaki- Miyakawa(2001)により、非線形項の一次漸近展開の主要項の形と減衰オーダーが 知られている。この一次の主要項の制御に関して、Miyakawa-Schonbek (2001)に おいて、解が主要項よりも速く減衰するための必要十分条件が明らかにされてい る。ただし、この条件は、解の定性的な情報を含むものであり、速い減衰の導出 を困難なものにしている。
先行研究Brandolese-O.(2021)では、小さな解(強解)に対して、外力により直 接的に非線形項を制御することで速い減衰の導出に成功している。しかし、その 手法は、解の$L^\infty$評価を用いたものであり、弱解に対して直接適用するこ とが困難である。
本講演では、弱解に対して、外力による非線形項の制御を行い、速い減衰の導出 を試みる。その際、先行研究での手法の改良と、弱解の重みつき$L^1$評価を確 立することが鍵となる。
本研究は、Lorenzo Brandolese氏(リヨン第1大学)との共同研究に基づく。
- 2021/11/8(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
金光 秋博(埼玉大学)
Stabilities on Pasquier’s two-orbits varieties
2009年に Pasquier は, 群作用をもつ多様体であって, その軌道が強い意味でちょうど2つであるものの分類を行っていた.
本講演では, これらの Pasquier の二軌道多様体に対して, その接束の安定性/非安定性や Kaehler-Einstein 計量の存在/非存在について解説する.
とくに, Pasquier の二軌道多様体の中にはその接束が安定でないものがあるということも紹介する.
これは接束の安定性についての予想「Picard数が1のFano多様体の接束は安定であろう」に関する反例である.
- 2021/11/8(Mon) 談話会談話会(集中講義の第1回を兼ねる) 13:30--14:30 ハイブリッド形式(E404+Zoom)
森山 翔文(大阪市立大学)
M理論と行列模型の数理物理学
物理学の進展に応じて様々な興味深い数理物理学がある。素粒子統一理論の重要な候補である10次元弦理論には、11次元対称性を持つ極限があり、それをM理論という。弦理論は弦が主役だったが、M理論は膜が主役である。場の理論では結合定数の展開(摂動論)を用いた理解が標準的であるが、M理論は摂動論による定義を持たず、長らく謎に包まれていた。近年、膜を記述する理論が発見され、それに基づいて様々な物理量が計算されてきた。本談話会では、その物理量が持つ多くの摂動論を超えた興味深い性質をご紹介したい。
- 2021/11/8(Mon) 談話会談話会談話会(集中講義の第1回を兼ねる) 16:30--17:30 ハイブリッド形式(E404+Zoom)
渡邉 忠之(京都大学)
4次元球面の微分同相群
多様体Xの同相群Homeo(X)はコンパクト開位相(またはC^0位相)によって位相モノイドと考えられますが、微分同相群Diff(X)には、微分の情報も考慮したC^\infty位相という自然な位相をとることができます。この意味でのDiff(X)のトポロジーの研究は近年益々活発になってきており、特に位相カテゴリーと可微分カテゴリーの間に顕著な差があることがわかってきています。スムージング理論によると、4次元以外の次元では、多様体の位相カテゴリーと可微分カテゴリーの違いの根源は空間Top(n)/O(n)のホモトピー型であると考えることができます。また4次元以外ではn次元球体の微分同相群はTop(n)/O(n)の多重ループ空間のホモトピー型を持つことが知られています。
4次元では未知なことが多いですが、多様体上の構造だけでなく位相同型群においても、こういう「高次元的」なもの以外に「エキゾチック」なものが存在することが、ゲージ理論などにより明らかにされています。
この講演では、4次元球面の微分同相群とその部分群に関わるいくつかの問題と、それらの現状について、主に「高次元的」な部分について、講演者が把握する範囲で概観する予定です。
- 2021/11/12(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--16:20 オンライン
阿部 健(大阪市立大学)
非定数係数を持つベルトラミ場の剛性
非圧縮理想流, プラズマ平衡で現れるベルトラミ場 curl u= f u, div u=0について比例係数 f が非定数となる場合の解の存在と非存在を考える. 講演の前半では軸対称ベルトラミ場による渦輪の構成を考え, 後半では対称な f に対してu の対称性を調べる剛性の問題を考える.
- 2021/11/15(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
松井 紘樹(徳島大学)
三角圏のスペクトラムとその種々の導来圏への応用
2005年にBalmerは与えられたテンソル三角圏に対して,素イデアルと呼ばれる部分圏の集合に位相を入れたものであるスペクトラムと呼ばれる位相空間を定義し,それを用いてテンソル三角圏を調べる方法を与えた.
この理論はテンソル三角幾何学と呼ばれており,これまでに様々な分野に応用されるなど非常に注目を集めている.
一方で,必ずしも全ての三角圏が良いテンソル構造を持つとは限らず,そのような三角圏に対してはBalmerの理論を適用することはできない.
本講演では,一般の三角圏に対してテンソル構造を用いずに素イデアルおよびテンソル三角圏の類似物である,素部分圏および三角圏のスペクトラムの概念を導入し,これらを用いてテンソル三角幾何学の類似の理論が展開できることを解説する.
さらに,ネータースキームに付随する完全導来圏,有界導来圏,特異圏といった三角圏についてそのスペクトラムの構造を調べる.
- 2021/11/15(Mon) 談話会談話会(集中講義の第1回を兼ねる) 17:00--18:00 オンライン
松浦 浩平(筑波大学)
ブラウン運動の時間変更とレゾルベントのヘルダー連続性
時間変更は確率過程に対する変換のひとつであり、非常に一般的に研究されてきた。考察する確率過程が対称マルコフ過程であれば、時間変更過程のディリクレ形式は完全に同定されており、この事実は確率解析において重要な役割を果たす。しかし、他の解析的対応物について具体的な表示を得ることは一般に難しい。本講演では、時間変更を特徴付けるRevuz測度に対する一定の仮定の下、ブラウン運動の時間変更に付随するレゾルベントのヘルダー連続性について調べた結果を紹介する。
- 2021/11/19(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--17:00
林 雅行(京都大学数理解析研究所)
Instability of degenerate solitons for nonlinear Schrödinger equations with derivative
プラズマ物理のモデル方程式としてよく知られている微分型非線形シュレディンガー方程式(微分型NLS)に5次の冪型非線形項を付加した質量臨界の方程式を考える.付加項が集約的であるとき,ソリトン全体の中で安定/不安定の境界に位置する退化したソリトンが現れ,初期値がこのソリトンの質量よりも小さいという質量条件を満たすならば,対応する解は時間大域的に存在することが知られている.微分型NLSでは退化したソリトンが代数ソリトンに対応し,質量条件が4πの条件に対応している.ここで現れる退化したソリトンは一般論の枠組みでは安定性/不安定性が決定できない場合に相当している.本講演ではソリトン周りの線形化作用素のスペクトルを整理し,modulation解析とlocal Virial等式を組み合わせて,付加項が集約的であるときの退化したソリトンの定量的な不安定性を証明する.証明の大部分が微分型NLSの代数ソリトンに関しても適用でき,このことは微分型NLSの代数ソリトン周りのダイナミクス解明に向けて重要な指針になると期待される.時間が許せば最近の可積分系の方面からの微分型NLSの研究と今回の不安定性の結果との関連性について考察し,未解決問題についても触れたい.なお本講演は深谷法良氏(東京理科大学)との共同研究(arXiv:2102.13014)に基づくものである.
- 2021/11/22(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
後藤 倫(大阪大学 理学研究科)
射影直線上の力学系のモジュライ空間と乗数について
射影直線P^1上の自己射 f:P^1->P^1を力学系とみなして、その反復合成の持つ性質を考える。このとき、周期点におけるfの微分の値(乗数)はfのAut(P^1)共役について不変であり、また、fの性質を調べる上でも重要である。
特に、「与えられた数の組について、それを乗数に持つ射が存在するか?」という問題(乗数の逆問題)を考えるときに、力学系の共役類のなすモジュライ空間を考えることは有用である。
この発表では、このモジュライ空間と乗数の間の関係について、
・射影直線上の「自己射」から、「(代数的)自己対応」へと一般化したとき、(d,e)次対応と(d+e-1)次自己射が関連付けられること
・乗数の逆問題について、その解の個数の具体的な上界の導出法
について発表する。
- 2021/11/22(Mon) 幾何セミナー 13:30--15:00(注意:変更しました) E404+オンライン
藤岡禎司(京都大学)
曲率の上界をもつ空間上の正則写像
距離空間の曲率の有界性の概念は1950年代にAlexandrovにより三角形の比較を用いて定義された。曲率の上界・下界をもつ空間はそれぞれCBA空間・CBB空間と呼ばれ、その性質は一般には大きく異なる。CBB空間(Alexandrov空間とも呼ばれる)は多様体へのstratificationを許容するなど位相的に良い性質をもつことが知られている。それに対しCBA空間の位相構造は遥かに複雑であり、何らかの制限を得るには「測地的完備」という条件を加えた「GCBA空間」を考えるのが良い。近年のLytchak-Naganoによる一連の結果は、GCBA空間がCBB空間と多くの類似性をもつことを明らかにした。本講演では、CBB空間の幾何学における重要概念であるPerelmanの正則写像の対応物をGCBA空間上で定義し、その性質を調べる。特にそのような正則写像が局所的にHurewiczファイブレーションであることを見る。また応用として、測地的完備なCAT(1)空間やCAT(1)ホモロジー多様体に対する球面定理を示す。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 対面でのセミナーです。 聴講者は手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス等感染症への対策にご協力いただくようお願いします。ご協力いただけない場合はご退室をお願いする場合があります。また感染症への対策のため入室人数を制限する場合があります。特に講演開始後の入室ができなくなる場合があります。セミナー室に来られない聴講希望者のためにオンラインでのセミナー映像のリアルタイム配信を企画しております。希望者は以下のフォームに登録お願いします。 (すでに今年度中に登録いただいた場合はZoomIdを引き続きご利用いただけます.再度登録いただく必要はありません) https://docs.google.com/forms/d/1QZr7GchFF8xlElZd-0k2XTBKm5V6_tStFcjku-p30Pg/edit
- 2021/11/26(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--16:20 オンライン
濱本 直樹(大阪府立大学)
ソレノイダル場に対する不確定性不等式の最良性について
本講演では、HeisenbergおよびHardyの不等式の最良定数を制約条件付きテストベクトル場とくにソレノイダル場に対して考察する。これらの不等式はいずれも量子力学の不確定性原理に直結しており、数学的にも、制約条件が無い場合の最良定数が知られている。本講演では、このような不等式をベクトル場に対して考えることで、ソレノイダルのような流体力学的な制約条件が最良定数にどのような変更をもたらすのかを問題にする。新しい最良定数の計算方法は、テスト場の球面調和関数展開などに沿って、最良定数を計算可能な成分に分解していくことが主な方針である。このような問題への取り組みについて、発端となった文献および近年のいくつかの進展結果を紹介する。本講演内容の一部は、高橋太教授(大阪市立大学)との共同研究結果を含む。また、本研究は科研費(課題番号:21J00172)の助成を受けている。
- 2021/11/29(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
澤原 雅知(埼玉大学)
Cylinders in canonical del Pezzo surfaces over non-closed fields
アフィン直線と代数多様体との直積をシリンダーという.与えられた正規射影多様体がシリンダーを含む事は,その正規射影多様体上の然るべきアフィン錐への1次元ユニポテント代数群の有効作用の存在に対応している事が知られている.そこで,del Pezzoファイブレーションの構造をもつ代数多様体がそのdel Pezzoファイブレーション構造に依存するようなシリンダーをいつ含むかを考える.この問題は,非代数閉体上に定義されたランク1のdel Pezzo曲面がシリンダーをいつ含むかを考察する事に帰着できる.本講演では,非代数閉体上に定義された極小weak del Pezzo曲面及びランク1のDu Val del Pezzo曲面に対し,シリンダーを含むかどうかを判定する方法について紹介する.
- 2021/11/29(Mon) 談話会(集中講義の第1回を兼ねる) 17:00--18:00 ハイブリッド形式(E404+Zoom)
小木曽 岳義(城西大学)
連分数のq-変形とそのいくつかの応用
連分数のq-変形はLeeとSchifflerによって,クラスター代数や有理絡み目のJones 多項式と関連して導入され、それがMorier-GenoudとOvsienkoにより大変見やすい形に整理された。この講演ではこの連分数のq-変形のMarkov方程式への応用などについて紹介し、それと概均質ベクトル空間の裏返し変換との関係についてお話します。
- 2021/12/1(Wed) トポロジーセミナー 17:00--18:30 理学部(Zoom)
谷本 北斗(東京工業大学)
Relative trisectionとハンドル分解
GayとKirbyは4次元多様体を三つの1-handlebodyに分割するtrisectionを導入した.
さらに,全ての多様体がtrisectionをもち,ある種の一意性が成り立つことを,ハンドル分解を用いて証明した.
本講演ではtrisection,主にrelative trisectionと関係するハンドル分解をいくつか紹介する.
それを利用して多様体のホモロジーと交叉形式が,trisectionより得られる情報によって表現できる.
また応用として,第二Stiefel-Whiteney類とlinking matrixもtrisectionから計算できることも見ていく.
(本年度のzoom参加希望フォーム https://forms.gle/mwPJhLQ7xHwPCjgA6)
- 2021/12/3(Fri) 整数論保型形式セミナー 13:30--14:45 D303
小木曽 岳義(城西大学)
局所関数等式を満たす多項式のペアについて
簡約可能正則概均質ベクトル空間の非退化な相対不変式 P について、その双対空間の相対不変式 P* は P と「そっくり」な形をしており、(P,P*) の間に局所関数等式が存在し、そのガンマ因子の明示公式もある程度求められている。「簡約可能正則」という条件を緩めたらどうなるかという研究が行われてきており、等質錐の理論や射影幾何学と関連して行われている。また、最近「概均質ベクトル空間」という条件を満たさない多項式のペアだが、局所関数等式を満たすものも現れており、これらは全て homaloidal 多項式と呼ばれるものである。講演では、上記以外のどういうところに homaloidal 多項式が現れて、どのような b-関数、局所関数等式を満たすのかについて、射影幾何、グラフ理論、クラスター代数などの関連で分かっている範囲でお話致します。
- 2021/12/3(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--17:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室
三浦正成(大和大学)
放物-楕円型 Keller-Segel 方程式系の解の時空間各点減衰について
移流拡散方程式に分類される Keller-Segel 方程式系は多くのパラメータを有し,その取り方によって放物-放物型,放物-楕円型,更には,半線形型,退化型,特異型が現れる豊富な構造を内在している. 特に,初期条件が小さい場合には時間大域解が存在し,解は時間発展とともに減衰することが知られている.例えば,空間変数について$L^p$積分を施した解は時間とともに減衰する.一方で,空間積分平均を考慮しない場合,解が時空間の各点で減衰を引き起こすかどうかは長い間の重要な未解決問題であった.同問題は2009年にBiler-Brandoleseによって部分的に解決されたものの,空間次元は2次元に制限されており,時空間ともに最適な減衰指数は得られていない.本講演では,空間一般次元で半線形型をした放物-楕円型 Keller-Segel 方程式系に焦点を絞り,時空間の重み付き$L^\infty$空間において解を構成する.これにより最適減衰指数を有する解が存在することを報告する.尚,本研究は芝田康将氏(大阪大学)と杉山由恵氏(大阪大学)との共同研究に基づく.
- 2021/12/6(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
丹野 真人(大阪大学 理学研究科)
位数がpベキであるような巡回群の野生McKay対応とその応用
標数p (p > 0)の代数幾何学、特に野性商特異点についてMcKay対応を通じて考える。野性McKay対応は、商特異点の弦モチーフがv関数の積分と一致することを主張する。しかし一般にv関数の値を具体的に計算することは難しい。本講演では、位数pベキの巡回群であるような状況ではv関数が具体的に計算できることを示し、その応用として商特異点の"悪さ"についての数値的判定法を与える。
- 2021/12/6(Mon) 幾何セミナー 13:00--14:30 理学部 E404/406/408 大セミナー室
田中祐二(京都大学)
The moduli of representations of a quiver without oriented cycles and its wall-crossing formula
This is based on joint work with Jacob Gross and Dominic Joyce, in which we propose universal structures for various enumerative invariant theories. These involve a problem of how to define enumerative invariants for the case where there are strictly semistable objects. In this talk, using the framework of the generalised Donaldson-Thomas theory by Joyce-Song, we describe those structures in the case of the moduli of representations of a quiver without oriented cycles, as an example of our proposal. -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 対面でのセミナーです。 聴講者は手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス等感染症への対策にご協力いただくようお願いします。ご協力いただけない場合はご退室をお願いする場合があります。また感染症への対策のため入室人数を制限する場合があります。特に講演開始後の入室ができなくなる場合があります。注意:Zoomによる配信はありません.
- 2021/12/8(Wed) トポロジーセミナー 17:00--18:30 理学部 D505/506 セミナー室
田嶌 優(北海道大学)
グラフのマグニチュードホモロジーとAsao-Izumihara複体における離散モース理論
グラフは、各辺の長さを1と定めて距離空間として考えることができる。マグニチュードは、Leinsterにより定義された距離空間に対する不変量である。グラフのマグニチュードホモロジーは、HepworthとWillertonによりマグニチュードの圏化として定義された。グラフに対して、次数とチェインの長さからマグニチュードホモロジーが定まる。次数とチェインの長さが異なるときにマグニチュードホモロジーが消えているグラフはdiagonalグラフと呼ばれる。本講演では、あるクラスのdiagonalグラフのAsao-Izumihara複体(マグニチュードチェイン複体に対応するCW複体)が球面の一点和とホモトピー同値であると示したことを紹介する。証明には離散モース理論を用いる。本講演は、北海道大学の吉永正彦氏との共同研究(arXiv: 2110.02458)に基づく。 【本年度のzoomでの参加希望フォーム https://forms.gle/QG3Me9jsWVYWTmSt7】
- 2021/12/10(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--17:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室
樋口 健太(立命館大学)
Semiclassical resonances generated by crossings of classical trajectories
シュレディンガー作用素は対応する古典力学における非捕捉的な(古典的粒子が時間無限大において必ず遠方へと散逸する)実エネルギーの(半古典)近傍に共鳴をもたないことが知られている.特にポテンシャルが滑らかな場合には,半古典パラメータ h↓0 の極限において虚部の大きさが h log(1/h) 以下のオーダーとなるような共鳴は存在しない(Martinez (2002)).
本研究では,行列値(ポテンシャルをもつシュレディンガー)作用素はこの範囲にも共鳴をもち得ることが明らかになった.行列値作用素では,固有ポテンシャル(行列値ポテンシャルの固有値)に関する(スカラー値)シュレディンガー作用素にそれぞれ古典力学が対応する.これらの古典力学に共通して非捕捉的であるようなエネルギーの近傍であっても,古典軌道が互いに交差することによって「閉軌道」をつくる場合には虚部が -Mh log(1/h)の共鳴が存在することがわかった.この係数Mは,古典的粒子が「閉軌道」を周回するために要する時間と交差の幾何学的な条件により決定される.
- 2021/12/13(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
佐野 太郎(神戸大学)
Fano重み付き超曲面のK-安定性について
重み付き完全交差は代数多様体の具体例を豊富に与える。Fano多様体上のKähler-Einstein計量の存在とK-ポリ安定性の同値性が示されて以来、具体的なFano多様体のK-安定性がより盛んに研究されている。Fano重み付き超曲面はKollár-Johnsonの研究以来調べられ、その上で対数的標準閾値を評価することでKähler-Einstein計量の存在が主に2次元で示された。本講演ではまず、対数的標準閾値の評価により、指数1のFano重み付き超曲面のうち全ての重みが次数を割る場合のK-安定性を多くの場合に示す。また指数が高い場合でも、一般の滑らかなFano重み付き超曲面がK-安定性を満たすことも説明する。
- 2021/12/20(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
Ratko Darda(大阪大学)
Manin-Peyre conjecture for weighted projective stacks
For a Fano variety defined over a number field, the conjecture of Manin-Peyre predicts the asymptotic behavior of the number of its rational points of bounded height. The constants appearing in the conjecture are expressed as arithmetic and geometric invariants of the variety.
The result of Hortsch gives the asymptotic behavior of the number of elliptic curves over Q of bounded Faltings height. The elliptic curves are not parametrized by a scheme, but by an algebraic stack. One can ask whether, as in the case of Manin-Peyre conjecture, the constants appearing in the asymptotic prediction are related with the arithmetic and the
geometry of the corresponding stack.
We will start the talk by an introduction to Manin-Peyre conjecture. Then we will see what difficulties arise when trying to formulate it for algebraic stacks. In the case of weighted projective stacks (the quotients of A^n-{0} by a weighted action of the multiplicative group scheme, the moduli stack of elliptic curves is an open substack of a w.p.s) a full theory can be provided. We further motivate why the Manin-Peyre conjecture for algebraic stacks could be related to Malle conjecture from number theory on the number of Galois extensions of bounded discriminant.
- 2021/12/20(Mon) 幾何セミナー 13:00--14:30 理学部 E404/406/408 大セミナー室
北別府悠(熊本大学)
ハイパーグラフ上のリッチ曲率
ハイパーグラフとはグラフの辺の概念(二点対)をハイパーエッジ(いくつかの頂点からなる集合)に拡張したものである. グラフ上で定義された Lin-Lu-Yau 型のリッチ曲率と呼ばれる概念をハイパーエッジ上に拡張することができ, さらに多様体などで知られているいくつかの結果の類似を得ることができたので, 今回はそれをご報告したい.
---------------------------------------------------------------------------------------------------------- 対面でのセミナーです。 聴講者は手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス等感染症への対策にご協力いただくようお願いします。ご協力いただけない場合はご退室をお願いする場合があります。また感染症への対策のため入室人数を制限する場合があります。特に講演開始後の入室ができなくなる場合があります。セミナー室に来られない聴講希望者のためにオンラインでのセミナー映像のリアルタイム配信を企画しております。希望者は以下のフォームに登録お願いします。 (すでに今年度中に登録いただいた場合はZoomIdを引き続きご利用いただけます.再度登録いただく必要はありません) https://docs.google.com/forms/d/1QZr7GchFF8xlElZd-0k2XTBKm5V6_tStFcjku-p30Pg/edit
- 2021/12/21(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 オンラインセミナー
石谷 謙介(東京都立大学)
Brown引越過程の構成と諸性質
本講演では,出発点と到達点の間に留まる1次元Brown橋を,Brown引越過程とよび,その構成方法と諸性質を紹介する.このBrown引越過程を構成するために,「条件付きBrown橋」や「条件付き3次元Bessel橋」の弱収束について議論する.また,Brown引越過程のパスの分解公式を紹介し,このパスの分解公式を用いてBrown引越過程のサンプルパスを効率的に生成する方法を説明する.
*本セミナーは Zoom を用いて行われます。参加を希望される方は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい。
- 2021/12/24(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--17:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室
加藤 勲(京都大学)
Ill-posedness for the half wave Schrödinger equations
本講演では,half wave Schrödinger 方程式の初期値問題を考える.Bahri- Ibrahim-Kikuchi(2021)によりエネルギー劣臨界空間での時間局所適切性が示 されたが,エネルギー空間での適切性は未解決である.本講演では,Christ- Colliander-Tao(2003)の方法に基づき,初期値の滑らかさが非常に低い場合, すなわち尺度優臨界空間における非適切性結果を報告する.特に非線型項のべき 指数が大きな場合,エネルギー空間において非適切であることを述べる.また, べき指数が小さなときの尺度臨界空間での非適切性についても言及したい.
- 2022/1/11(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 オンラインセミナー
新井 裕太(千葉商科大学)
KPZ固定点とTASEPのKPZスケーリングの係数について
KPZ普遍性は界面成長において観られる普遍的性質であり、相互作用粒子系と関連する性質であることが知られている。近年Quastel氏らは、KPZ普遍クラスを特徴付けるとされる分布関数の一群をKPZ固定点として導入した。本講演では、特定の条件を満たす異なるタイプのTASEPにおいて、統一的にKPZ固定点を求められるようになったことを報告する。また、上記の手法によって新たに判明したTASEPのKPZスケーリングの係数の数学的意味や可解構造が持つ数学的性質について紹介する。 *本セミナーは Zoom を用いて行われます。参加を希望される方は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい。
- 2022/1/12(Wed) トポロジーセミナー 17:00--18:30 理学部 D505/506 セミナー室
熊谷 駿(東北大学)
General origamis and Veech groups of flat surfaces
有限枚の単位正方形セルを貼り合わせて得られる平坦曲面を折り紙という.
折り紙のアフィン変形が定める曲面族はタイヒミュラー空間の中で円盤をなし、これに作用する写像類の群(Veech群)の商で与えられる代数曲線(折り紙曲線)としてモジュライ空間に埋め込まれる. 折り紙曲線とその上の折り紙それぞれのガロア共役の間の強い関係性を示すMöllerの結果があり, これは絶対ガロア群の"$\widehat{GT}$-relation"に対する新たなアプローチを導いた.
本講演では非並進の場合を含めた折り紙曲線の網羅的計算とガロア共役の考察について上記の背景を交えて紹介する. また, 折り紙に関連付けて扱える平坦曲面の族に関する考察を紹介する.
【zoomでも講演を配信します。本年度のzoomでの参加希望フォーム https://forms.gle/hwxcaysBqQeC3kWR9】
- 2022/1/17(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
Kewei Zhang(Beijing Normal University)
Analytic aspects of the delta invariant
Delta invariant is introduced by Fujita and Odaka, which is an algebraic threshold that can detect the K-stability of Fano varieties. Like the alpha invariant of Tian, delta invariant also has analytic interpretations, which will be the main focus of this talk. I will show that delta invariant is exactly equal to the optimal exponent of certain Moser-Trudinger type inequalities on polarized manifolds and as a consequence we obtain a new and computable criterion for the existence of constant scalar curvature Kahler metrics.
- 2022/1/21(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--16:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室
村上 博一(大阪大学)
非線形Klein-Gordon 方程式の弱い消散条件下での解の減衰評価について
1次元3次の非線形Klein-Gordon方程式は、非線形項が特定の構造条件を満たす場合に、解が自由解よりも速く減衰することが、非線形消散現象として知られている。この構造条件には強い消散条件と弱い消散条件の2種類が存在する。それらの違いの一つとして、解の時空微分まで速く減衰するかどうかがあり、強い消散条件のもとでのみ解の時空微分の速い減衰が得られている(Kim-Sunagawa)。本研究では、弱い消散条件を満たす典型的なモデルに対して解の時間微分の減衰レートを調べた。その結果、性質の良い初期値に対して、解の時間微分に対するほぼ最適な減衰評価が得られた。また、強い消散条件を満たすモデルの場合よりも減衰レートが遅い解が実際に存在するという意味で、一般にはこの評価が最適であることも分かった。本研究は眞崎聡氏(阪大)との共同研究に基づく。
- 2022/1/21(Fri) 微分方程式セミナー 16:00--17:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室
石田あかり(大阪大学)
Laplace方程式のCauchy問題に対する反復法の安定性評価に関する深さ依存性
Laplace方程式に対するCauchy問題を考える. この問題の近似解をBastay-Kozlov-Turessonにより提案された, 対応する境界値問題を繰り返し解く, 反復法と呼ばれる方法で構成する. このとき, 境界値問題を考える領域として, より小さな領域を選んだ方が, より安定的に解を構成できることを示す. 更に, この反復法はCauchyデータに誤差を含む場合にも適用できるので, この場合に対しても同様の評価を示す.
- 2022/1/24(Mon) 阪大オンライン代数幾何学セミナー 10:30--12:00 For more information, please contact osaka.agseminar@gmail.com (We might ignore non-academic e-mail address)
菊田 康平(中央大学)
Spherical twists and the center of autoequivalence groups of K3 surfaces
ホモロジカルミラー対称性より,Calabi-Yau多様体の連接層の導来圏の自己同値群とシンプレクティック多様体のシンプレクティック写像類群の間に何らかの関係があることが期待される.本講演では,写像類群の基本的元であるDehn twistの理論の類似を考察し,一般の代数多様体に対してspherical twistという自己同値関手の群論的な性質を紹介する.実曲面内の単純閉曲線の交点数の類似の概念を導入することで,spherical twistの反復作用に関する基本的な不等式を証明することが鍵となる.
応用として,K3曲面の自己同値群の中心群の計算を紹介する.
本講演は,一部Federico Barbacovi(UCL)との共同研究に基づく.
- 2022/1/24(Mon) 幾何セミナー 13:00--14:30 E404+オンライン
糟谷久矢(大阪大学 理学研究科)
Higgs bundles and flat bundles over Sasakian manifolds and quasi-regular bundles.
Indranil Biswas氏(Tata研究所 Mumbai)との共同研究(Comm. Math. Phys. 385 (2021), arXiv:2110.10644)および関連する事柄についてお話しします。
Simpsonによりコンパクトケーラー多様体上でHiggs束と平坦束が対応すること(非可換Hodge対応)が知られています。
本講演では, ケーラー多様体の奇数次元でのアナロジーである佐々木多様体上でのこの対応のアナロジーについて解説します。
今回は, 特に佐々木多様体の重要なクラスであるquasi-regularな佐々木多様体上で, quasi-regularなベクトル束というものを定め, その上での理論に重点を置いて解説したいと思います。
----------------------------------------------
対面でのセミナーです。 聴講者は手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス等感染症への対策にご協力いただくようお願いします。ご協力いただけない場合はご退室をお願いする場合があります。また感染症への対策のため入室人数を制限する場合があります。特に講演開始後の入室ができなくなる場合があります。セミナー室に来られない聴講希望者のためにオンラインでのセミナー映像のリアルタイム配信を企画しております。希望者は以下のフォームに登録お願いします。 (すでに今年度中に登録いただいた場合はZoomIdを引き続きご利用いただけます.再度登録いただく必要はありません)
今回は新しく導入された音声機器の試験も兼ねておりますことをご了承いただきたくお願いします。
https://docs.google.com/forms/d/1QZr7GchFF8xlElZd-0k2XTBKm5V6_tStFcjku-p30Pg/edit
- 2022/1/24(Mon) 談話会 17:00--18:00 ハイブリッド形式(E404+Zoom)
桑垣 樹(大阪大学 理学研究科)
Riemann-Hilbert対応とWKB解析
RH対応とは、微分方程式(D加群)とその解のモノドロミー(構成可能層)を結びつける圏同値です。この圏同値は超局所的な同値で、両辺の超局所的な情報も関係づけます。ここで「超局所的な情報」とは、微分方程式を考えている底多様体の余接束に住んでいるスケール不変な情報(「錐的な情報」)のことです。例えば、微分方程式の主表象の零点(特性多様体)は、構成可能層の超局所台というものを使って記述することができます。そして、ここに現れる特性多様体や超局所台は余接束内の錐的ラグランジアンになっています。
他方、半古典解析(WKB解析)と幾何学的量子化の文脈では、hつきの微分方程式(の解)が、その半古典ラグランジアンに対応する量子状態だとみなします。ここでも微分方程式と余接束のラグランジアンに関係があるわけですが、こちらに現れるラグランジアンは錐的とは限りません。
今回の講演では、上の二つを混ぜた話をします。すなわち、hつきの微分方程式に対するRH対応の定式化とそのシンプレクティック幾何学との関わりについてです。定式化には層量子化という概念を用いており、それは深谷圏とも関係があるので、それらについても説明をする予定です。
- 2022/1/25(Tue) 確率論セミナー 16:30--18:00 ハイブリッドにて開催
塩沢裕一(大阪大学理学研究科)
Martingale nature and laws of the iterated logarithm for Markov processes of pure-jump type
本講演では,保存的な純飛躍型マルコフ過程が2次モーメント有限な純不連続マルチンゲールになるための,飛躍核に関する十分条件を与える。さらに,マルチンゲール性を用いて,飛躍核に関する適切な条件の下で重複対数型の極限定理を示す。本講演は Jian Wang 氏 (Fujian Normal University) との共同研究に基づく。 *本セミナーは Zoom を用いて行われます。参加を希望される方は塩沢(shiozawa "at" math.sci.osaka-u.ac.jp)までお問い合わせ下さい。
- 2022/1/26(Wed) トポロジーセミナー 15:10-- 理学部 D505/506 セミナー室
安田順平, 坂井健人, 上田涼太郎, 炭本貴裕(大阪大学 理学研究科)
題目は「アブストラクト」をご覧ください.
対面とZoom のハイブリッド形式のセミナーです.
(1) 安田 順平, 曲面絡み目のplat表示
(2) 坂井 健人, The harmonic maps compactification of Teichmüller spaces for punctured Riemann surfaces
(3)上田 涼太郎, 仮想絡み目の仮想カンドル彩色クイバーとハンドル体絡み目の MCQ 彩色クイバー
(4)炭本 貴裕, 完全グラフのbook presentationの分類
- 2022/1/28(Fri) 微分方程式セミナー 15:30--
橋詰 雅斗(広島大学)
劣臨界Trudinger-Moser型汎関数におけるH^1臨界点の漸近挙動について
Trudinger-Moser型汎関数の正値臨界点について、領域のスケールに関するパラメータを導入し漸近挙動を考察する。今回扱う臨界点はNeumann境界条件を満たす非局所楕円型方程式の解となっており、関連する代表的な研究としてはLin-Ni-Takagi(1988)やNi-Takagi(1991)などがある。幾つか得られた結果の中で、特に、最大化関数においてパラメータを無限大にした場合の結果を中心に紹介する。最大化関数においては、全空間Trudinger-Moser不等式の最大化問題の結果と関連して、指数によって漸近挙動が異なるという結果が得られる。
- 2022/2/2(Wed) トポロジーセミナー 15:10-- 理学部 D505/506 セミナー室
斎藤 充志, 市井翔平, 加藤広太, 伊藤大貴, 高橋 夏野(大阪大学 情報科学研究科, 理学研究科)
題目は「アブストラクト」にあります.
対面とZoom のハイブリッド形式のセミナーです.
(1) 斎藤 充志, ローレンツテンプレートの拡張及びその諸性質について
(2)市井 翔平, メビウス変換による反復関数系のInvariant Disk
(3) 加藤 広太, 仮想絡み目のJKSS不変量について
(4) 伊藤 大貴, 順序付き捻れ仮想絡み目に対するインデックス多項式不変量
(5) 高橋 夏野, コルクの相対トライセクション
- 2022/3/9(Wed) トポロジーセミナー 17:00--18:30 zoom
和田昌昭(大阪大学)
これまで考えて来たこと