スタッフ

神田 遼 (Ryo KANDA)

Email kanda(@math.sci.osaka-u.ac.jp をつけてください)
研究分野
Research
環論
Ring theory
キーワード
Keywords
ネーター環、アーベル圏のスペクトラム
Noetherian rings, spectra of abelian categories
居室
Office
理学部 B401(豊中キャンパス)
Science building B-401(Toyonaka campus)
URL http://www.math.sci.osaka-u.ac.jp/~kanda/japanese/

私は環論を研究しています。環とは、整数のなす集合、多項式のなす集合、n次正方行列のなす集合のように和・差・積を持った代数的構造で、特に私は積が可換でない非可換環について調べています。

環の研究において重要な役割を果たすのが加群の概念です。これは線型代数で扱うベクトル空間の一般化なのですが、定義における唯一の違いは、係数の集合が実数体や複素数体のような体ではなくて、環であるということです。ベクトル空間はどのような係数体の場合でも同型類が基底の濃度に決定されることが分かりますが、環の場合には有限生成な加群であってもその様子は環自身の構造によって大きく異なります。逆に言うと、加群の振る舞いを調べることで環自身の構造を間接的に調べることができ、特に非可換環の場合には環自身を直接調べるよりも明瞭な理論を展開でき、より深い帰結に至ることがあります。

環上の加群の全体を抽象化した概念としてアーベル圏があります。それぞれの環に対して、その加群の全体はアーベル圏の構造を持ち、このアーベル圏の構造からもとの環をある程度復元することができます。同様のことが代数多様体上の連接層のなすアーベル圏に対しても成り立つことが知られていることから、アーベル圏は(非可換)環と(可換)代数多様体を含む大きな枠組みであると言えます。私の研究では、特定の性質を持つアーベル圏の一般的な性質を考察し、その帰結として非可換環に関する新しい性質を明らかにしてきました。このような抽象的な設定で研究を進めることで、環上の加群の圏以外のアーベル圏に対しても類似の問題を考えられるようになります。例えば、与えられたアーベル圏からの関手を考えることによって得られる関手圏もまたアーベル圏であり、その構造はもとのアーベル圏におけるホモロジー代数的な性質と密接な関係があります。このような特定のアーベル圏に対して一般論で生じた素朴な疑問を考察することは、既存の理論を新しい方向へ展開するための道標になるのではないかと期待しています。