情報活用基礎 第14回(7月24日)


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続 LaTeX 入門

前回の講義で,LaTeX を用いた文書作成の基本的な流れはマスターできたことと思う.今日はより複雑な文書作成に挑戦しよう.

サンプル

まずは サンプル を見てみよう.このように LaTeX を使うと,数式や図・表の入ったレポートを簡単に,しかも美しく仕上げることができる.

今日の目標は,このような文書を LaTeX で作成できるようになることにある.

上のサンプルは,次の LaTeX ソースファイルで作成したものである.そこでまず,先週作成した(はずの)TeX 作業専用のディレクトリに sample.tex というファイル名で次の文章を保存しよう. そして,このソースファイルをいろいろと加工し,新しい文書を作る作業を通じて,LaTeX の基本的な使い方を学ぼう.ともかく実践あるのみである.

%---------------------------------------
% ドキュメントクラスの指定
%(なお % の後ろの文字は無視されるため,コメントとして使用できる.)
%---------------------------------------
¥documentclass[10pt, a4paper]{jarticle}

%---------------------------------------
% プリアンブル 
%---------------------------------------
¥topmargin -15mm
¥oddsidemargin -10mm
¥evensidemargin -10mm
¥textheight 250mm
¥textwidth 180mm

¥usepackage{graphicx}
¥usepackage{amsmath}
¥usepackage{amssymb} 
¥usepackage{amsthm}
¥usepackage{float}

¥newtheorem{定理}{定理}
¥newtheorem{補題}[定理]{補題}
¥newtheorem{系}[定理]{系}
¥newenvironment{証明} {¥par¥noindent{¥bf 証明}¥quad}{¥hfill$¥Box$¥bigskip}

¥title{¥LaTeX の使い方}
¥author{ほげほげ 太郎¥¥
大阪大学}
¥date{2017年某月某日}

%---------------------------------------
% 本文
%---------------------------------------
¥begin{document}
¥maketitle

¥begin{abstract}
¥LaTeX を使うとどんなことができるのかを簡単に説明します.
まず,「概要」と書かれたこの部分には,論文のおおまかな内容を書きます.
¥end{abstract}

¥section{はじめに}
本稿では,¥LaTeX のごく基本的な使い方を説明します.
もっと詳しいことは,例えば ¥LaTeX 関連の参考書¥cite{OkumuraKuroki:2017}や web 上にある解説記事¥cite{Wiki}などを参考に,
各自で調べてください.

¥section{¥LaTeX で数式を書く}
¥LaTeX を使うと,様々な数式を美しく表示することができます.
例えば,¥underline{Lagrange 方程式}
¥begin{equation}
¥label{eqn:Lagrange}
¥frac{d}{dt}¥left(¥frac{¥partial L}{¥partial ¥dot q_i}¥right)
-¥frac{¥partial L}{¥partial q_i}=0
¥end{equation}
や  ¥underline{Schr¥"odinger 方程式} 
¥begin{equation}
¥label{eqn:Schrodinger}
i ¥hbar ¥frac{¥partial}{¥partial t}¥psi=¥left[-¥frac{¥hbar^2}{2m}¥nabla^2+V ¥right]¥psi
¥end{equation}
なども簡単に書くことができます.
因みに,(¥ref{eqn:Lagrange}) は解析力学で,
(¥ref{eqn:Schrodinger}) は量子力学で登場します.

行列を書くのも簡単です.例えば
¥begin{equation}
¥label{eqn:Pauli}
¥sigma_x=
  ¥left[¥begin{array}{cc}
   0 & 1 ¥¥ 1 & 0 
  ¥end{array}¥right],
  ¥quad
¥sigma_y=
  ¥left[¥begin{array}{cc}
   0 & -i ¥¥ i & 0 
  ¥end{array}¥right],
  ¥quad
¥sigma_z=
  ¥left[¥begin{array}{cc}
   1 & 0 ¥¥ 0 & -1 
  ¥end{array}¥right]
  ¥quad
¥end{equation} 
は ¥underline{Pauli のスピン行列}と呼ばれる行列で,
やはり量子力学などで活躍します.

¥section{¥LaTeX で定理と証明を書く}

¥LaTeX を使うと,定理やその証明も簡単に%
¥footnote{
ただし,「定理」「補題」「証明」などの
環境をあらかじめプリアンブルに定義しておく必要があります.
}%
書けます.

¥begin{補題}¥label{lem:Rolle}
$f(x)$は $[a,b]$ で連続,$(a,b)$ で微分可能であって,
$f(a)=f(b)$ とする.このとき,ある $¥xi¥in(a,b)$ が存在して
¥[
f'(¥xi)=0.
¥]
¥end{補題}

¥begin{証明}
テキスト ¥cite{Sugiura} を参照せよ.
¥end{証明}

補題~¥ref{lem:Rolle} は Rolle の定理と呼ばれる定理であり,これからただちに次の有名な Taylor の定理が得られます.

¥begin{定理}¥label{thm:Taylor}
$f(x)$は $[a,b]$ で $n-1$ 回連続微分可能,$(a,b)$ で $n$ 回微分可能とする.このとき,
ある $¥xi¥in(a,b)$ が存在して
¥[
 f(b)=¥sum_{k=0}^{n-1}¥frac{f^{(k)}(a)}{k!} (b-a)^k+¥frac{f^{(n)}(¥xi)}{n!} (b-a)^n.
¥]
¥end{定理}

¥begin{証明}
テキスト ¥cite{Sugiura} を参照せよ.
¥end{証明}

¥section{¥LaTeX で表を作成する}

表も簡単に書けます.
¥begin{table}[H]
¥caption{セ・リーグ順位表(2016年)} 
¥label{tbl:baseball}
¥begin{center}
¥begin{tabular}{@{¥vrule width0.8pt~}l|c|c|c|c|c|c@{~¥vrule width 0.8pt}}
¥noalign{¥hrule height0.8pt}
%¥cline{1-7}
チーム& 試 & 勝 & 敗 & 分 & 率 & 差 ¥¥
¥hline¥hline
広島 & 143 & 89 & 52 & 2 & .631 & -- ¥¥
巨人 & 143 & 71 & 69 & 3 & .507 & 17.5 ¥¥
DeNA & 143 & 69 & 71 & 3 & .493 & 19.5 ¥¥
阪神 & 143 & 64 & 76 & 3 & .457 & 24.5 ¥¥
ヤクルト & 143 & 64 & 78 & 1 & .451 & 25.5 ¥¥
中日 & 143 & 58 & 82 & 3 & .414 & 30.5 ¥¥
¥noalign{¥hrule height0.8pt}
¥end{tabular}
¥end{center}
¥end{table}

上の表~¥ref{tbl:baseball}は2016年のセ・リーグ順位をまとめたものです.

¥section{¥LaTeX に図を挿入する}
eps 形式で書かれたグラフィクス・データを外部から取り込み,
文中に図として挿入することもできます.

¥begin{figure}[H]
 ¥begin{center} 
   ¥includegraphics[width=65mm]{sample.eps}
 ¥end{center}
 ¥caption{極値問題}
¥label{fig:fig1}
¥end{figure} 

上の図~¥ref{fig:fig1} は,関数 $f(x,y)=x^3-3xy+y^3$ の
グラフを原点付近で描いたものです.
点 $(x,y)=(1,1)$ で極小値をとることが分かります.

¥section{¥LaTeX で箇条書きする}

箇条書きを使うと,文書にリズムが生じて読みやすくなります.例えば itemize 環境を用いると:
¥begin{itemize}
¥item ここは itemize 環境の第1レベルの第1項
¥item ここは itemize 環境の第1レベルの第2項
¥begin{itemize}
¥item ここは itemize 環境の第2レベルの第1項
¥begin{itemize}
¥item ここは itemize 環境の第3レベルの第1項
¥item ここは itemize 環境の第3レベルの第2項
¥end{itemize}
¥item ここは itemize 環境の第2レベルの第2項
¥end{itemize}
¥item ここは itemize 環境の第1レベルの第3項
¥end{itemize}
あるいは enumerate 環境を用いれば,各項目に番号をふって
¥begin{enumerate}
¥item ここは enumerate 環境の第1レベルの第1項
¥item ここは enumerate 環境の第1レベルの第2項
¥begin{enumerate}
¥item ここは enumerate 環境の第2レベルの第1項
¥begin{enumerate}
¥item ここは enumerate 環境の第3レベルの第1項
¥item ここは enumerate 環境の第3レベルの第2項
¥end{enumerate}
¥item ここは enumerate 環境の第2レベルの第2項
¥end{enumerate}
¥item ここは enumerate 環境の第1レベルの第3項
¥end{enumerate}
とすることもできます.もちろん,itemize 環境と enumerate 環境を組み合わせて使うこともできますし,他にも description 環境なども使えます.

¥section{あとがき}

以上見てきたように,¥LaTeX を用いれば見栄えの良い文書が簡単に作成できますので,ぜひ使い方をマスターして下さい.

¥begin{thebibliography}{99}
¥bibitem{OkumuraKuroki:2017}
奥村晴彦,黒木祐介「¥LaTeX $2_{¥scalebox{1.1}{$¥varepsilon$}}$ 美文書作成入門」改訂第7版(技術評論社)
¥bibitem{Wiki}
{¥sf https://texwiki.texjp.org/?LaTeX¥%E5¥%85¥%A5¥%E9¥%96¥%80}
¥bibitem{Sugiura}
杉浦光夫「解析入門 I」(東京大学出版会)
¥end{thebibliography}

¥end{document}

練習課題

上で作ったサンプルファイル sample.tex をコンパイルしてみよ.「sample.eps というファイルがない」というメッセージと共に,エラーで停止するはずである.そこで一旦,sample.tex のコンパイルは中断しよう.

そして, 上述のグラフィックデータ sample.eps を LaTeX 作業用のディレクトリにダウンロード(マウスで右クリックして「リンク先のファイルを保存」を選択)し,改めてコンパイルしてみよ.

以上の作業がうまくいったら,次に,LaTeX に関する記事:

と上記サンプルファイル sample.tex とを見比べながら,以下のことについて学ぼう.

  1. ドキュメントクラスとは何か? どのようなスタイルがあるのか?
  2. プリアンブルとは何か? この部分には,どのようなことを書くのか?
  3. 文書のスタイルにはどのようなものがあるのか?
  4. 文書のレイアウトにはどのようなものがあるのか?
  5. どのような文字飾りが使えるのか?
  6. どのような環境が書けるのか?
  7. どのような数式が書けるのか?
  8. 図・表を作成するには,どうしたらよいか?
  9. 定理,図,表,および論文などの相互参照方法は?

そして,学んだことを実践するため,上記 sample.tex をどんどん改訂し,様々な文書を作成してみよ.

レポート課題

以下の第1〜2節に記載された課題に LaTeX を用いて取り組み,これらに『タイトル・アブストラクト・参考文献』の項目を追加して論文形式にまとめ,レポートとして提出せよ.


レポート提出方法 は以下の通り.

提出に際し,以下の点に留意せよ.

確認テストの実施