阪大力学系・フラクタルセミナー
平成26年度
4月23日(水) 場所: 豊中キャンパス 理学部 D 棟 505 セミナー室, 時間:16:30ー18:00

講演者: 嶺山良介氏(大阪大学)

三角群の変形と反復関数系

三角群をCoxeter群と見直して作用の変形を考える. Coxeter群の持つEuclid空間への自然な作用を ある超平面に射影して得られる新たな作用について考える. この作用はCoxeter群がある条件を充たす場合, 双曲平面とその境界への作用であることがわかる. 特に三角群の場合においては, 境界への作用が非常に簡単な縮小写像になる. 本研究ではこれを利用して三角群の極限集合を反復関数系の枠組みで捉え直し, 作用の変形に応じて極限集合のHausdorff次元がどのように変化するか観察する. 本研究は大阪大学の下村健吾氏との共同研究である.


5月21日 (水)場所: 豊中キャンパス 理学部 D 棟 505 セミナー室, 時間: :16:30ー18:00

講演者: 鈴木新太郎氏 (大阪大学)

一般化されたβ-変換とそのArtin-Mazurゼータ関数

閉区間[0,1]上で定義される区分的C^2級拡大写像の力学的性質は、 その力学的ゼータ関数の極の性質と関連することが知られている。 本講演では、2007年に導入された区分的C^2級拡大写像の具体例である 一般化されたβ-変換の場合に、その力学的ゼータ関数である Artin-Mazurゼータ関数が、変換を用いた1の展開係数と 関連する有理型関数と関数等式をみたすことを示し、 その関数等式を用いて、変換のArtin-Mazurゼータ関数の極の性質を考察する。 また一般化されたβ-変換を適当に変形させた場合の、 そのArtin-Mazurゼータ関数の極の挙動についても考察する。


6月30日 (月)場所: 豊中キャンパス 理学部 D 棟 505 セミナー室, 時間 :16:30ー18:00
(いつもと曜日が違います!)

講演者: 茶碗谷 毅 氏 (大阪大学)

準周期外力をうける系における「変」なアトラクターと関連する諸現象

準周期外力をうける系においては、正のリアプノフ数をもつ「カオス」ではな いにもかかわらず滑らかではない複雑な形をしたアトラクター(Strange Nonchaotic Attractor; SNA)が観測されるなど、一般的な力学系ではなじみの ない複雑な現象が起こることが知られている。本講演では主に応答側がロジス ティック写像の場合にみられる SNA の構造やその出現機構などについて、酒井 貴郁さんとの共同研究でえられた数値的な結果を中心に紹介する。
10月8日(水) 場所: 豊中キャンパス理学部棟4階D407, 時間:17:00ー18:30
(いつもと時間と場所が違います!)

講演者:中川勝國氏(広島大学)

自己相似集合におけるmultifractal rigidity

力学系上の不変測度に対しては局所エントロピースペクトルや 次元スペクトルと言った種々のマルチフラクタルスペクトルを考えられる.multifra ctal rigidityとは,スペクトルから元の測度が復元できる現象を指す.Barreira- P esin-Schmelingは自己相似集合上の次元スペクトルに対するrigidityを考察した(199 9).また,Barreira-Saraviaは記号力学系上の 局所エントロピースペクトルについてrigidityを議論している(2008). 今回,前記2つの結果をともに含む,Markov型測度のrigidityについての結果を 得たので紹介する.この結果は2-symbolのMarkov shiftに対するものだが, 3-symbolの場合に得られた結果にも触れたい.
11月26日(水) 場所: 豊中キャンパス理学部棟3階 B342, 時間:16:30ー18:00
(いつもと場所が違います!)

講演者: 藤本仰一 氏 (大阪大学理学部)

1. 多細胞集団の動態から何を抜き出すことができるか
2. 器官配置の動力学から特定の器官数を決める ― 花


細胞の形や動きや遺伝子発現の計時変化を 多細胞生物で測定する技術が急速に進展している。 これらの生命現象と物理化学現象との 数理的な類似性に基づいて、 どのような理解ができつつあるかを概説する。 つづいて、その一例とし、 器官の数を決める発生過程の特徴について、 最近の研究を紹介する。 生物体内の器官は、特定の数を持つ。 発生過程で器官の数は正確に決定され、 進化を経て器官数は種ごとに多様化している。 しかし、これらの器官数の正確性と多様性を 包括的に捉える発生の論理は、 植物、動物のいずれにも未だ無い。 このセミナーでは、植物の代表的形態である花器官 (花びら、他)の数に焦点を絞る。 花器官と「相同」な葉の配置(葉序)には、 多くの数理的研究がある。 各器官を質点と近似し、 質点間の斥力相互作用を仮定したモデルから、 典型的な配置が説明され、 モデルの分子生物学的実体の解明も近年進んでいる。 これらの葉序の数理モデルにどんな改変を加えたら、 双子葉植物に多い5数性と4数性の花器官配置だけが 優勢に現れるかを、我々は数値計算を通じて探索してきた。 その結果見いだした2つの性質が、数の決定に果たす役割を 解析計算も含めて報告する。 このモデルでは、花の大きさを2倍にしても器官数は 維持されるし、5数性を示すナデシコ科の花などについては 2次元極座標に射影した花器官配置が再現される。 主たる研究者は、北沢美帆さん(阪大理生物D3)です。
1月21日(水) 場所: 豊中キャンパス理学部棟4階 D407, 時間:16:30ー18:00
(いつもと場所が違います!)

講演者: 宮地秀樹氏 (大阪大学理学部)

Dynamical approach to the infinitesimal spaces of quasiconformal mappings

この講演では平面擬等角写像の無限小空間の研究の 力学系的なアプローチを試みる. 平面擬等角写像と平面上の点に対して, 無限小空間と呼ばれる擬等角写像のなす空間の部分空間が定まる. ほとんどすべての平面上の点では無限小空間は 各点における全微分から定まる線形変換からなる一点集合であるが, 一般には一点集合でない場合がある.この講演では, 擬等角写像の定義から始め,無限小空間の基本的な性質を話す. そして時間があれば,考えている問題についても話したい. 過去の阪大力学系・フラクタルセミナーの履歴
平成25年度の記録