松本佳彦

2014年4月13日更新

数学者と呼ばれる人々は何をしているのか? 最も直接的な言い方をするなら、新しい数学の定理や理論をつくり、それについての論文を書くというのが主要な活動です。(かなりの割合の数学者は、同時に教師としても仕事をしていますけれど、ここでは狭い意味での数学者としての活動について考えることにします。)

では、「定理や理論をつくって論文を書く」という具体的な活動によって、数学者たちはもっと根本的には何をしているのでしょう? それはこういうことだと思います。

「数学的自然」とはいったい何かと思う方も多いでしょうが、これは数学的対象たちが蠢いている世界のことを言ったつもりです。数学的対象は人の考え出した、想像上の世界にしかないものではあります。ですがそうは言っても、「人が見つける以前から、それらはどこかに存在していたのだ」という気がします。その「どこか」をここでは「数学的自然」としてみました。

数学の研究の意味とは、世界の広がりについての認識を「数学的自然」の方面において深めることにあるのだと思います。それはまず、人の心を支え、喜びをもたらします。また、ときには数学的自然と物理的自然が結びついて、現実の世界の理解につながったり、産業技術に結びついたりすることもあります。

自分自身としては、社会と数学の関わりの可能性について、開かれた姿勢でいたいと思います。また、「数学的自然」を記述するということについて、数学者以外の方々にもさまざまな仕方でお伝えしたいと思っています。