備前冬季数学祭典 2007

日時:2007年12月15日(土)13:30〜17:30

場所:岡山大学理学部1号館 B-305号室 (代数セミナー室)
世話人: 中村 博昭、 河備 浩司

注意!!土曜日建物施錠のため、岡山大の外からの参加希望者は、河備(kawabi "あっとまーく" math.okayama-u.ac.jp)まで事前にお問い合わせください。

講演その1: 13:30〜14:30

講師:篠原 雅史 氏(九州大学大学院数理学研究院)

題目:三次元ユークリッド空間における最大 3-距離集合の一意性について

要旨:d 次元ユークリッド空間上の有限部分集合 X のすべての相異なる二点間の距離が丁度 k 種類出てくるとき、
X を k-距離集合 と呼ぶ。今回の話では、距離集合について知られている結果をいくつか紹介し、三次元ユークリッド空間上の
3-距離集合で 12 点からなるものは、正二十面体の頂点集合に限られること(Einhorn-Schoenberg (1966) の予想) を示す。


講演その2: 15:00〜16:00

講師:佐藤 隆夫 氏 (大阪大学大学院理学研究科)

題目:自由メタアーベル群の自己同型群のJohnson準同型について

要旨:自由群の自己同型群の組み合わせ群論的性質、及びホモロジー論的性質を研究するための1つの道具として
Johnson準同型なるものが定義される。元々、Johnson準同型は曲面の写像類群の部分群であるTorelli群を研究するために
Johnsonが導入したものであるが、任意の群の自己同型群に対して定義され、構成の仕方から単射であることが分かる。
従って、その余核の構造を決定するのは重要な問題の1つである。一般に、自由群の自己同型群のJohnson準同型の余核は
現在でも完全に決定されていない未解決問題である。本講演では、自由群の自己同型群の剰余群として記述される
自由メタアーベル群の自己同型群を考え、そのJohnson準同型の余核が完全に決定できたことを紹介する。
講演では Johnson準同型の定義や簡単な性質を紹介することから始めたい。


講演その3: 16:30〜17:30

講師:小松 亨 氏 (上智大学理工学部数学科)

題目: グロタンディクのデッサンのグラフ構造を決定するアルゴリズムについて

要旨:グロタンディクのデッサンは射影直線の3点分岐被覆に付随するグラフである。
2003年11月に岡山大学で行われた研究集会では、デッサングラフの双対グラフを
計算すれば元のデッサングラフが復元できることを講演させていただいた。
2003年の講演当時は双対グラフを計算する方法がエフェクティブではなかったが、
最近そのエフェクティブなアルゴリズムを完成できたのでそのアルゴリズムについてお話しさせていただく。