確率論セミナー


2017/7/18(Tue)

16:30--18:00 数学教室 大セミナー室 (E404)

坂井 哲

北海道大学理学研究院

体心立方格子上のSAWとパーコレーションのレース展開

相転移や臨界現象を研究する際,格子の構造を変えることはよくある.例えば,2次元自己回避歩行(Self-Avoiding Walk,略してSAW)の連結定数の値は,標準的な正方格子上では求まっていないが,六法格子上では$\sqrt{2+\sqrt2}$であることが証明されている.また,2次元臨界パーコレーションの連続極限について,三角格子上のサイトパーコレーションがSLE$_6$で記述できることは証明されたが,標準的な正方格子上のボンドパーコレーションでは未解決である.

本講演では,高次元臨界現象を厳密に解析できる(モデルによっては唯一の)手法「レース展開」を,体心立方格子上で解析した結果を紹介する.体心立方格子上のランダムウォークの長所のおかげで,レース展開を制御することが比較的簡単になり,SAWでは6次元以上,ボンドパーコレーションでは9次元以上で臨界現象が平均場的なものに退化することを,比較的短く(現在執筆中のサーベイは50ページ以下)証明することが出来る.従来の解析と比べてどのような工夫がなされたのか,どのような障害を乗り越えれば上部臨界次元より上の次元全て(SAWでは5以上,パーコレーションでは7以上)で平均場への退化を証明できるのか,について述べたい.