4次元トポロジーセミナー


2017/11/10(Fri)

16:30--17:30 理学部 b棟 b342/346

近藤 慶

山口大学

Hopfのピンチング予想から微分異種球面定理へ

完備単連結リーマン多様体$M$の断面曲率が恒等的に$1$であれば、$M$は単位球面に等長的であった。 リーマン多様体の曲率から位相的性質がどの程度決まるのかという問題に関心があったH. Hopfは1930年代に 「$M$の断面曲率が$1$に十分近いとき、$M$は球面に同相であろう」と予想した(Hopfのピンチング予想)。 この予想は、Rauch--Berger--Klingenbergによって、1960年代までに「$M$の断面曲率が$1/4$より大きく$1$以下であれば、$M$は球面に同相である」という最良の形で解決された。 この後、リッチ流を適用し、Brendle--Schoenは上述の位相球面定理を微分球面定理へと強めることに成功した。特に全ての異種球面は断面曲率が$1/4$より大きく$1$以下である計量を許容しないことが分かる。 この解決により、Hopfのピンチング予想の一般化として「コンパクト単連結リーマン多様体$X$が与えられたとき、放射(断面)曲率が$X$のそれに近いコンパクト単連結リーマン多様体$Y$は$X$に微分同相か否か」という自然な問題が提起できる。 本講演では、講演者の次の結果を紹介したい:上述の問題において、もし$X$と$Y$が切断跡(cut locus)が一点となる点を許容するならば、$Y$は$X$に微分同相である(微分異種球面定理,arXiv:1705.10178 )。 ここで、$5$次元以上の全ての異種球面上には切断跡が一点となる点を許容する計量が存在することに注意したい。