談話会(集中講義の第一回目を兼ねる)


2018/5/21(Mon)

16:30--17:30 E404

森本 芳則

京都大学名誉教授

切断近似をしないボルツマン方程式の数学理論

ボルツマン方程式はL.Boltzmann が1872年に導いた気体運動論の基礎方程式で、 気体粒子の衝突を記述する積分項の核は、粒子の衝突角度を変数とした特異性を持っている。特異性による積分の発散を避けるため従来、特異な部分を切り落とす近似が用いられ、鵜飼(1974-76)、Diperna-Lions(1989)による時間大域解の存在証明など、その数学理論は大きく進展した一方、この近似によりボルツマン方程式の重要な性質も失われる。特異性をもつ積分項は、粒子速度変数に 関するラプラス作用素のような振る舞いをし、適当な条件のもと解の正則化がおこる。本講演では切断近似をしないボルツマン方程式に対して特徴的にあらわれる解の正則化に焦点を当てて、その数学理論を紹介する。