確率論セミナー


2018/7/3(Tue)

16:30--18:00 数学教室 大セミナー室 (E404)

千野 由喜

Leiden University

Ergodic limits in random walk in cooling random environment

本発表ではLuca Avena, Conrado da Costa, Frank den Hollander氏らとの共同研究に基づいて,Random walk in cooling random environment (RWCRE) について最近得られた結果を中心に述べたいと思う.

今回取り上げる RWCRE は,空間と時間に依存した推移確率を仮定した1次元ランダムウォークモデルの一つである.ここで random environment とは1次元整数格子上の各点に対して定められる,ある確率分布に従って選ばれた推移確率の集まりのことを言う.このモデルは,ランダムではない単調に増加する時刻の列に沿って毎回 random environment を選びなおしてできる,時間変化のともなう環境下での一次元ランダムウォークを考える.時刻0において環境を一つ選び,その環境を固定したままランダムウォークを考える static(もしくは frozen とも呼ばれる)random environment に対し,与えられた時刻の列に沿って変化する環境を cooling random environment と呼ぶ.特に,時間幅が発散する場合を cooling regime と呼び,徐々に static なモデルに近づくと予想される.しかしながら,L. Avena と F. den Hollander 氏らの先行研究において,この予想は一部否定されており,RWCRE の漸近的性質は与えられる時刻の列と確率分布の両方に依存していることが示唆されている.

基礎にあたる Random walk in random environment (RWRE) においては現在までに多くのことがわかっており,密接な関係にあるこのモデルの解析にもそのいくつかが役立つ.今回の内容は,基礎である RWRE について現在得られている重要な結果をいくつか紹介しながら,RWCRE の漸近的振る舞い,特に RWCRE に関する大数の法則と大偏差原理について焦点を当てるつもりである.