スタッフ

金 英子 (Eiko KIN)

Email kin(@math.sci.osaka-u.ac.jp をつけてください)
研究分野
Research
位相幾何学、力学系
Topology, dynamical systems
キーワード
Keywords
写像類群、組ひも群、擬アノソフ、Nielsen-Thurston 理論
Mapping class groups, braid groups, pseudo-Anosov, Nielsen-Thurston theory
居室
Office
理学部 B340(豊中キャンパス)
Science building B-340 (Toyonaka campus)
URL http://www.math.sci.osaka-u.ac.jp/~kin/

現在は曲面の写像類群について研究しています。 写像類群の元として一般的なものが、擬アノソフとよばれる写像類です。(大雑把に言えば、ランダムに写像類群の元を選ぶと、その元は擬アノソフです。) 私が興味を持っているのは、最も単純な擬アノソフはどのようなものか? という問題です。もう少し詳しく説明します。擬アノソフ写像類は、力学系理論や双曲幾何学の観点から、複雑な(それと同時に美しい)様々な性質をもっています。その複雑さを反映するいくつかの量があります。例えばエントロピーや体積(これは擬アノソフの写像トーラスの双曲体積のこと)とよばれる量です。曲面のタイプを固定して、その曲面の写像類群を考えると、擬アノソフ写像類達のエントロピーや体積の集合にはそれぞれ最小値が存在します。エントロピーや体積の最小値を実現する写像類はどのようなものか? というのが上の問題です。 最近、Gabai、Meyerhoff、Milley 達は、体積が小さい3次元閉双曲多様体、カスプを一つもつ3次元双曲多様体を完全に決定しました。とても興味深いことに、彼らの結果からわかることは、これらの3次元多様体は全て、たった一つの3次元双曲多様体のデーン手術とよばれる操作によって得られる、ということです。この特別な3次元双曲多様体は、摩訶不思議な様々な性質を持つので、専門家はマジック多様体とよんでいるのですが、別な言い方をすれば、マジック多様体は、体積が小さいという特徴的な性質を持つ3次元双曲多様体の "親" になっている、ということです。 小さなエントロピーを持つ擬アノソフ写像類についても、どうやらマジック多様体が "親" になっているのではないか? この予想は、最近の私の研究や他の専門家の研究に基づいています。曲面のタイプはもちろん無限種類あります。(例えば 種数 g の閉曲面の族など。) それそれの曲面の写像類群について、エントロピーの最小値を実現する写像類は存在します。曲面のタイプは無限種類あるのでこのような写像類も無限にあります。このような無限にある写像類が、実はたった一つの多様体から得られるのかもしれない。この研究に取り組んでいると、我々のこの宇宙について、ときどき思いを馳せてしまいます。