スタッフ

大野 浩司 (Koji OHNO)

Email koji(@math.sci.osaka-u.ac.jp をつけてください)
研究分野
Research
代数幾何学
Algebraic geometry
キーワード
Keywords
双有理幾何、分類理論
Birational geometry, classification theory
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私が学生時代、皆さんと同様、専攻案内を見て、数論、幾何は分かるけど、代数幾何ってなんだ?と思いました。皆さんは2次曲線論を学ばれたことと思いますが、幾何の問題を解くのに代数的手法を用いるのが有効であることは既に気が付いていると思います。代数幾何学は、大体、その延長線上にあるものと考えて頂ければ良いでしょう。中、高校生時代は、何故、2次曲線なんて特定の方程式ばかり扱うんだろう、yがxについて解けない方程式みたいにもっと複雑な方程式とかはどうやって取り扱うの? という疑問を抱いていた私は、あ、これかも!と思い飛びついた訳です。様々な複雑な方程式のうち、自明でない最も簡単なものはyの2乗=xの3次式という形の方程式です。これは楕円曲線(いわゆる楕円とは違います)といい、19世紀数学の金鉱脈と言われ、多くの数学者が多くの仕事を残しています。有名なフェルマー予想(フェルマー本人は解けたと主張しているが)なども、この楕円曲線に関するある種の問題解決がなされた結果、解決されたそうで、この分野の影響力は絶大なものといえるでしょう。ところで、x,yと変数2個しか出てこないけど、3変数、4変数...といくらでも考え得るのでは?と思うのは自然で、近年の研究では曲線から曲面へ、さらなる高次元空間へと押し進められています。先程の楕円曲面の2次元版はK3曲面と呼ばれ、その名はエベレストより登頂困難といわれる山K2に由来、あるいはKの頭文字の3人の数学者名に由来するとも言われていますが、K3 曲面はトレリの定理により線形代数学の範疇におさまってしまうことが分かっているので、既に征服されていると言えます。私が現在研究しているのは、それらの高次元版で、一般にCalabiーYau空間と呼ばれています。物理学者によると、我々の住んでいる空間は時間、縦、横、高さの計4次元以外に3次元 CalabiーYau空間を会わせて10次元あるとか26次元あるというらしいですが、そういった物理学的興味がなくても純粋に数学的に興味深いものです。私は今現在対数的極小モデル理論を駆使して解析しておりますが、既存の理論だけでは攻略法に乏しく、全く革命的な理論が必要と感じてきました。最近では、この分野の研究で新理論が続々と登場しています。こうした新しい理論を取り込みつつ、かと言って従来の理論をあなどって浮き足立つことなく地道に勉強、研究の日々を送るのが良いと思っています。